STMicroelectronicsは、人間支援アプリケーションの技術開発の促進を目的とする設計コンテスト「OpenWorld」を発表した。同コンテストは、「Autonomieプロジェクト」が立ち上げた技術プロモーションで、Autonomieプロジェクトは、FEDER(欧州地域開発基金)を通してEUが資金提供している産業・研究コンソーシアムで、障害者の公共施設・サービスへのアクセスをより容易にする技術開発を目的としている。
今回のコンテストでは、さまざまな障害や医療事情を抱えた人々が公共施設・サービスにアクセスするのを支援し、日常生活への積極的な参加に役立つように設計された最も革新的かつ有用な電子アプリケーションを考案した応募者に、現金2万ドルの賞金が授与される。
同社はAutonomieプロジェクトにおいては、視覚障害者を支援するためのプロセッサ、センサ、ワイヤレス技術などのエレクトロニクス技術の応用を進めていく役割をになっている。同プロジェクトの目的は、これらの技術やアプリケーションを障害者特有のニーズに即した安価な統合型電子ソリューションとして普及させることで、プロジェクトでは、技術の評価・研究・設計に障害者が携わっており、Autonomieプロジェクトの発起人自身も視覚障害者である。
なお、コンテスト応募者には、今回の課題に向けて以下ツール・プラットフォームが提供される。
- STM32用「EvoPrimer」:ARM Cortex-M3ベースのSTM32マイクロコントローラ(マイコン)を搭載した携帯型バッテリ駆動デモ製品および開発プラットフォーム
- センサ拡張性:高精度測位に役立つジャイロ・センサ/地磁気センサ/加速度センサ/圧力センサを搭載したEvoPrimer拡張ボード
- 無料ソフトウェア・ツールセット:コンパイラ、デバッガ、プログラマを含むツールセット
- 「CircleOS」:アプリケーション開発、既存のPrimerアプリケーションの移植と再利用を簡略化するミドルウェア
- Bluetooth、GPS、その他の信号技術をサポートするRFチップ用の拡張機能
同コンテストには、「Concept Proposal(コンセプト提案)」と「Development(開発)」の2フェーズがあり、コンセプト提案は、すでに開始されており、応募者は同コンテストのWebサイトに登録してコンセプトを提出する形となる。また、コンセプトの提出件数に制限はなく、同フェーズの合格者に、アプリケーション作成を支援するSTM32マイコン用EvoPrimerと各種のソフトウェア・ツールが提供されることとなる。
その後、コンセプト合格者は、2011年12月までに作成したアプリケーションを提出。Autonomieプロジェクトのメンバーによって構成される委員会により、アプリケーションの技術的なメリットならびにエンド・ユーザである障害者に対する有用性について審査が行われる予定となっている。