先端科学技術の調査会社であるトムソン・ロイターは4月13日、「論文の引用動向による日本の研究機関ランキング」の2010年版を発表した。これは、世界的な学術論文の刊行数やその引用数データに基づき、科学研究業績に関する統計情報と動向データを編纂した同社独自のデータベース「Essential Science Indicators」に収録されている世界の研究機関情報から、日本のデータを抽出・再集計し、論文の総被引用数順に並べたもの。対象期間は2000年1月1日から2010年12月31日の11年間。
2010年版のランキングでは、東京大学が前年に続き国内総合1位を維持しつつも、世界順位は13位と昨年11位から後退した。また、全体的に、国内順位に大きな変動はないものの、日本以外の国での論文数の増加もあり、世界順位では多少下がる傾向が見られた結果となっている。
国内順位では、科学技術振興機構、理化学研究所など政府系研究機関の国内順位が上昇しているほか、日本のお家芸と言われる材料科学、物理学、化学などは、前回以前と変わらず世界での影響力の強さを示している。
国内研究機関の総合トップ20。前回のランキングと比較すると科学技術振興機構が5位から4位へ(東北大学は4位から5位へ)、理化学研究所が8位から6位へ(名古屋大学、九州大学はそれぞれ順位を1つずつ下げた)、広島大学が15位から14位へ(自然科学研究機構は14位から15位へ)、そして金沢大学が20位へランクインし、前回の20位であった物質・材料研究機構はランク外となった |
国内研究機関の分野別ランキング(免疫学)。ランキング上位は前回から変動はないが、9位に前回10位の国立感染症研究所がランクアップ。10位には東京医科歯科大学が入り、前回9位であった兵庫医科大学がランク外となった |
なお、これら分野別のランキングは、、世界のトップ5位以内に日本の機関がエントリしていた分野について同様に集計、それぞれトップ10をまとめたものとなっており、今回は、例年ランクインしている4分野(材料科学、物理学、化学、生物学・生化学)と、前回新たにトップ5入りした2分野(免疫学、薬理学・毒物学)の6分野となった。