NXP Semiconductorsは、USBアーキテクチャとスマートカード・インタフェースを搭載した低コスト版ARM Cortex-M0ベースのマイクロコントローラ(マイコン)「LPC11U00」を発表した。
ユーザー定義の柔軟なバッファアーキテクチャ管理、高度に設定可能なFull Speed USB 2.0デバイスコントローラの実装、非同期USBオペレーションと共に最大5つの設定可能な物理エンドポイントの提供により、同シリーズは、USBのパフォーマンスを最大限に引き出すことが可能であり、一般的なUSB実装環境とは違いLPC11U00のエンドポイントバッファはUSBドメイン内ではなく、システム SRAMスペースに置かれ、CPUはUSBパケットへ直接アクセスできるほか、未使用のエンドポイントバッファはシステムSRAMとして再割り当てされることで完全に利用されるので、スペースが無駄になることがないと同社では説明している。この機能は、特にシリアルインタフェース間で迅速なデータ伝送が求められるUART-to-USBや SPI-to-USBブリッジなどのプロトコル・コンバータに適しているという。
また、同USBアーキテクチャでは、各非制御エンドポイントをバルク、割込み、アイソクロナス転送のいずれかに設定でき、最大1,023バイトのパケットサイズでダブルバッファすることが可能なほか、専用のUSB PLLがサポートする柔軟なクロックアーキテクチャによって非同期USB オペレーションが可能となり、CPUとUSBは最高速度で別々に稼働することが可能だ。
さらに、接続オプションとして、2つのSSP(Synchronous Serial Port)インタフェース、10倍のバスドライブ能力を有するI2C Fm+(Fast-mode Plus)、USART(Universal Synchronous-Asynchronous Receiver/Transmitter)、スマートカード・インタフェースが含まれており、スマートカード・インタフェース(ISO7816-3)は、スマートカード用プラグ・アンド・プレイを提供する。
加えて、デザイン上の強化が行われており、例えば汎用I/O(GPIO)は、プログラミング可能なパターン割込み機能がグループとして設定できるようになっている。ほかにも、低電力アプリケーション用にカスタマイズできるAPI(Application Programming Interface)によるオンチップ・パワー・プロファイルを提供しており、設計者はアプリケーションの干渉を最低限におさえながら理想的な電力レベルを実現することができるようになっている。
同シリーズは、最大32KBのフラッシュ、6KBのSRAM、多様なシリアルインタフェース、スマートカード・インタフェース、4つのPMW機能付システムタイマ、8チャネル10ビットA/Dコンバータ、最大40のGPIOを提供しているほか、複数の標準パッケージに加え、小型モバイル機器や民生機器に対応可能な4.5mm×4.5mm TFGBGA48パッケージでも提供される。
なお、同シリーズは 、LPC11U12(16Kビットフラッシュ)、LPC11U13(24Kビットフラッシュ)、LPC11U14(32Kビットフラッシュ)の3モデルで構成されており、いずれもすでに初期導入企業向けにサンプル出荷を開始しており、2011年5月に全世界で提供開始の予定だ。 また2011年下半期には、より大規模なメモリとパッケージ構成のモデルが順次加わる予定となっている。