数々のPV作品を手掛け、映画『ソラニン』で注目を集めた三木孝浩監督。彼の最新作『管制塔』が劇場公開される。バンド Galileo Galileiの同名楽曲からインスパイアされ作られたという映画『管制塔』について、三木監督に話を訊いた。
三木孝浩 |
Galileo Galileiの楽曲から生まれた映画
――この作品はどのようにして制作されたのでしょうか。
三木孝浩(以下、三木)「昨年の夏頃、Galileo Galileiのライブを初めて見る機会がありまして、最初に観た時に『管制塔』という曲が凄く良くて印象に残ったんです。後でメンバーに話を訊いて、それがバンドで最初に作った曲だと知りました。そこで、この曲の誕生をモチーフにドラマを作るというアイデアが生まれて、作ってみたいと思ったんです。その時は、まさか映画にまでなるとは思っていませんでした」
――物語の舞台もGalileo Galileiのメンバーの出身地である稚内が舞台ですね。
三木「企画が動き出してから、稚内にロケハンに行ったのですが、何というか曇りがちで、北欧のアイルランドのような印象を受けたんです。その風景を見て、こういう場所から、彼らの音楽が生まれたのだと、僕の中で凄く納得したんですね。それで、稚内の風景や彼らの曲をモチーフにオリジナル作品を作ろうという事になったんです。あくまでもドキュメンタリーではなく、この場所を舞台にした物語を作りたいと思いました」
――Galileo Galileiというバンドに関しては、どのような印象をお持ちですか。
三木「十代のバンドなので、テクニックには甘い部分があったり、繊細さで売るバンドかなという先入観があったのですが、ライブでもそういった弱さがまったくなかったんです。むしろ、蒼さはあるけれど、弱い蒼さではなく力強い蒼さを感じました」
――『管制塔』では、どのような部分を意識して物語を構築されたのでしょうか。
三木「映画はオリジナルストーリーですが、Galileo Galileiのバンド結成エピソードや曲が生まれた背景などは、上手く物語に取り入れたいと思っていました。部屋の押入れで古いギターを見つけてバンドを始めたというエピソードや、スタジオの横に雀荘があって、そこでミニライブをやったというエピソードは、Galileo Galileiの本当の話なんですよ」