NECと米Aerojet-Generalは、小惑星探査機「はやぶさ」に搭載したものと同型のイオンエンジンを、米国において動作させることに成功したことを発表した。
同動作試験は、2011年4月6日(米国時間)に米国ワシントン州レドモンドにあるAerojetの施設において、アメリカ政府関係者、アメリカ航空宇宙局(NASA)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、米国の人工衛星製造メーカーなどの立会いのもと実施され、エンジンが正常に動作したことが確認された。
NECとAerojetは、2009年8月に協業検討開始を発表し、実際には2010年7月より人工衛星向けイオンエンジンの開発・販売における協業を開始していた。今回の動作試験の成功は、両社の今後の米国における販売活動を推進するためのデモの意味合いが強いものとなっている。
「はやぶさ」に搭載されたイオンエンジンは、JAXAの委託を受けNECが製造したもので、イオン生成にマイクロ波を用いる独自技術により、従来のイオンエンジンに比べて2倍以上の長寿命と高信頼性を実現しており、その結果が「はやぶさ」の地球帰還実現の1つの要因となった。
なお、両社は、今回の成果を活かしてイオンエンジンの共同開発を加速し、静止衛星や深宇宙探査機向けの推進装置として、日本や米国を中心とした国際衛星市場に対して販売活動を進めていく計画としている。