米Facebookは4月7日 (米国時間)、オレゴン州プラインビルにデータセンターを新設したことを明らかにした。効率的なソーシャルネットワークサービス提供を目指して独自設計したもので、同社の従来の施設よりも同じ仕事量で電力消費が38%少なく、24%のコスト削減を実現する。同社はまた、高効率なデータセンターのデータを共有する場となる「Open Compute Project」の発足を発表。プラインビル・データセンターの仕様や設計を公開した。
データセンターの設計は、カリフォルニア州パロアルトの本社の地下でわずか3人のチームによる小規模なプロジェクトとしてスタートした。効率性を追求するならば、ソフトウエアからサーバ、建物に至るすべてを自らコントロールする必要があると判断。サーバ、電源、サーバラック、電力バックアップシステムなどをカスタムデザインし、データセンター周囲の気候や環境も考慮したゼロからの大規模な取り組みへと発展した。
プラインビル・データセンターでは、エネルギーの損失を削減するために、480ボルトの電力分配システムを採用。不要機能を排除したマザーボード、ネジを使わないスナップイン式の組み込みなど、効率性を優先したシンプルな構造にサーバがまとめられている。建物全体の空気循環とデータセンターが統合されており、オレゴンの冷たい外気をデータセンター内に引き込み、データセンターが排出する熱を冬のオフィスの暖房に活用している。データセンターのエネルギー効率を示すPUE (Power Usage Effectiveness)は1.07と、データセンター全体の消費電力とIT機器による消費電力が等しい"1.0"に近い。Facebookの既存施設は1.5である。
Open Compute Projectは、エネルギー効率および経済効率の高いデータセンターの実現を目指してデータを共有する業界イニシアチブだ。最初のステップとして、Facebookはデータセンターで使用しているハードウエア(マザーボード/電源/サーバ筐体/サーバラック/バッテリーキャビネットなど)の仕様と機械設計、データセンターの電力および機械構造の仕様を公開した。第1世代の技術開発にはFacebookのほか、Alfa Tech、AMD、Delta、Intel、Power-One、Quantaなどが参加しており、次世代技術ではDell、HP、Rackspace、Skype、Zyngaなどが参加する。