JR東日本は4月5日、東北新幹線と在来線について、東日本大震災による地上設備の被害と現時点における復旧状況について発表を行った。津波を受けた7線区については、点検状況も公表した。

東北新幹線において、最も多かった被害は「電化柱の折損・傾斜・ひび割れ」(約540ヵ所)だった。これに、「架線の断線」(約470ヵ所)、「高架橋柱等の損傷」(約100ヵ所)と続く。高架橋、橋りょう、駅舎、トンネルの崩落はなかった。

東北新幹線の主な被害と復旧状況

主な被害 個所数 進捗率
電化柱の折損・傾斜・ひび割れ 約540ヵ所 約70%
架線の断線 約470ヵ所 約70%
高架橋柱等の損傷 約100ヵ所 100%
軌道の変位・損傷 約20ヵ所 100%
変電設備の故障 約10ヵ所 約85%
防音壁の落下・傾斜・剥離 約10ヵ所 100%
天井材等の破損・落下 5駅 約80%
橋桁のずれ 2ヵ所 100%
橋桁の支点部損傷 約30ヵ所 100%
トンネル内の軌道損傷 2ヵ所 100%
合計 約1,200ヵ所 約75%

区間ごとに復旧状況を見ると、「大宮-那須塩原」と「盛岡-新青森」は運転が再開されているが、「福島~新幹線総合車両センター(仙台付近)」の復旧進捗率は約55%、「新幹線総合車両センター(仙台付近)~一ノ」の復旧進捗率は25%となっている。

東北新幹線の区間ごとの復旧状況

区間 個所数 進捗率
大宮~那須塩原 約120ヵ所 3/15運転再開
那須塩原~福島 約270ヵ所 約95%
福島~新幹線総合車両センター(仙台付近) 約390ヵ所 約55%
新幹線総合車両センター(仙台付近)~一ノ関 約150ヵ所 約25%
一ノ関~盛岡 約230ヵ所 約98%
盛岡~新青森 約40ヵ所 3/22運転再開
合計 約1,200ヵ所 約75%

東北新幹線の復旧状況

「新幹線総合車両センター~盛岡」の復旧状況。上が水沢江刺~北上間の電化柱の折損、下が新花巻~盛岡間の高架橋柱の損傷

「福島~新幹線総合車両センター」の復旧状況。上が仙台~新幹線総合車両センター間の電化柱の折損、下が仙台駅ホームの天井材の落下

在来線において、最も多かった被害は「軌道変位」(約2,200ヵ所)だった。これに、「電化柱の折損・傾斜・ひび割れ」(約1,150ヵ所)、道床砕石流出(約220ヵ所)が続く。

在来線の主な被害と復旧状況

主な被害個所数 個所数 進捗率
軌道変位 約2200ヵ所 約80%
電化柱の折損・傾斜・ひび割れ 約1150ヵ所 約90%
道床砕石流出 約220ヵ所 約70%
乗降場変状 約220ヵ所 約90%
盛土・切取等土工設備の変状 約170ヵ所 約80%
信号・通信設備の故障 約130区間 約75%
橋りょう・高架橋の損傷 約120ヵ所 約85%
駅舎の損傷 約80駅 約95%
トンネルの損傷 約30ヵ所 約80%
変電設備の故障 約30ヵ所 約80%
落石 約20ヵ所 100%
乗換こ線橋等停車場設備の損傷 約20ヵ所 100%
架線の断線 約10ヵ所 約60%
合計 約4,400ヵ所 約80%

在来線線の復旧状況

上が東北貨物線長町~宮城野間の土留壁倒壊・盛土流失、下が仙山線作並~八ツ森間の盛土流失

津波を受けたのは八戸線、山田線、大船渡線、気仙沼線、石巻線、仙石線、常磐線の7区線。駅舎の点検はすべて終わっているが、線路の点検率は約90%となっている。

津波を受けた7線区の点検状況

これまで確認されている主な被害として、津波によって駅舎流失の被害個所数は23駅、津波による線路流失・埋没の被害個所は65ヵ所(延長約60km)、津波による橋けた流失・埋没は101ヵ所などがある。

津波を受けた7線区の状況