立ち上がる「IT機器セカンダリー市場」

企業向けIT機器のセカンダリー市場がにわかに注目を集めている。セカンダリー市場とは、メーカーが生産した製品(新品)を流通、販売する市場をプライマリー(一次)市場とみなしたときに、メーカーが販売を終了した未使用製品や、リースアップを迎えたもののまだまだ使用可能な製品を扱う市場のことを指す。ごく簡単に言えば、"中古市場"だ。

単に中古と言うと、PCパーツなどの使いふるしやジャンク品などを思い浮かべることが多い。だが、近年では、メーカー自身が「メーカー再生品」や「リファービッシュ品」などとして機器を再生し販売するケースが増えていたり、流通販売業者が数年単位の保証を付けた「新古品」「リユース品」を企業向けに提供したりといったように、従来の中古市場とは異なるトレンドが見られるようになった。こうした新しいトレンドを指して、IT機器のセカンダリー市場という呼び方が使われ始めているのだ。

ここで注目できるのが、セカンダリー市場で流通する製品が、従来のようなコンシューマー向けPCやPCパーツにとどまらず、企業向けのラックサーバやタワーサーバ、ネットワークスイッチ、ストレージなどに対象が広がっていること。実際、スタートアップ企業が新サービスを立ち上げるためにセカンダリー市場から製品を迅速に調達したり、大規模企業が部門システムのコールドスタンバイ機としてリユース品を活用しコスト削減を図ったりといった事例が、この1年の間で数多く報告されるようになっている。

「2011年はセカンダリー市場元年になる」──業界や既存ユーザー企業の間では、市場の立ち上がりに期待を込めながら、そうした予測も出始めているという。IT投資の振り向け先や機器の調達手段の選択により賢明な判断が求められるようになっている昨今、IT機器を低価格で安定して調達できる市場が立ち上がることは、ユーザー企業にとってもメリットが大きいと言える。

では、IT機器のセカンダリー市場の現状はどうなっており、ユーザーには具体的にどんなメリットが期待できるのか。海外のセカンダリー市場の動向や、国内の現状、活用のメリットなどを探ってみよう。