アナログ半導体大手のTexas Instruments(TI)とNational Semiconductor(NS)は、TIがNSを買収することで正式契約を行ったことを発表した。

買収金額は1株当たり25ドル、総額65億ドルで、すべて現金による買収となる。同買収は、両社の取締役会において全会一致で承認された。

TIは、約3万種類のアナログ半導体製品群を300mmウェハ対応工場などで生産を行っており、一方のNSも約1万2000のアナログ半導体製品を産業用電源製品向けなどに提供してきていた。今回の買収合意により、NSはTIのアナログ事業部門の1つとなり、これらのアナログ半導体の売り上げはTI全体の売り上げの約50%程度になるという。

同買収に伴い、TIは、NSが保有する米国メイン州、スコットランド、マレーシアにある生産拠点の操業を継続し、それぞれの拠点の生産能力を増強するとしている。また、NSは買収後も引き続き米国カリフォルニア州サンタクララに本社を置くこととなる。

また、同買収の契約条項に従い、NSの株主は買収完了時点で所有するNSの普通株1株当り25ドルを現金で受け取ることとなるが、TIは、同買収を現金残高と借入金で賄う見込みだ。また、同買収は、米国および国際的な諸規定、ならびにNSの株主の承認を含み、通常のクロージングの条件により左右され、買収の最終合意には6~9カ月かかる見込みだという。

なお、2010年のアナログ半導体の市場規模は約420億ドルとされており、TIの売上高は60億ドルで市場占有率は14%。一方のNSの2010年の売り上げは16億ドルで、市場占有率は3%であった。