宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月24日、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震における災害対策支援として技術試験衛星VIII型「きく8号」(ETS-VIII)を用いた人工衛星回線の接続を開始したことを発表した。
JAXAでは、岩手県大船渡市より要請を受けた文部科学省の依頼に基づき、24日に大船渡市役所に「きく8号」の地上アンテナと可搬型通信実験用端末を設置し、大船渡市役所-筑波宇宙センター間において、情報通信研究機構(NICT)の協力の下、「きく8号」による最大768Kbpsの衛星通信回線を接続したという。
これにより、大船渡市役所職員によるPCからインターネット接続しての情報収集が開始され、今後、市役所や現地消防署などでのインターネットおよびIP電話などを利用しての連携強化のための情報共有としての利用が開始される予定。
また、大船渡市役所に設置した可搬型通信実験用端末は「きく8号」の特徴である小型の通信実験用端末であり、移動・設置することが容易であることから、避難所などからのインターネットによる情報発信が可能となるなど、今後の災害復興の円滑化が期待されるとJAXAでは説明している。
さらに、JAXAでは超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)を活用して、すでに岩手県庁災害対策本部(盛岡市)と県沿岸広域振興局(釜石市)に「きずな」用の可搬型アンテナを設置し、活用してもらっているが、岩手県よりの要請に基づき、これに加えて、県沿岸広域振興局(大船渡市)にも「きずな」の可搬型地上アンテナが設置された。
なお、JAXAでは、「きく8号」および「きずな」を用いた災害対策に資する通信衛星の技術開発などを実施しており、その一環として、災害復興の支援に今後も取り組んでいくとしている。