Texas Instruments(TI)は、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震における被害状況の初期評価を行った結果、同社日本法人である日本テキサス・インスツルメンツの美浦工場が大きな被害を受けたことを発表した。
同社では電力会社が実施する計画停電や節電への協力を優先しつつ、最短で美浦工場を5月より複数ラインにおいて段階的に生産を再開する見込みとしており、工場の全面再稼働は7月中旬、全面再稼働に基づく出荷は9月を見込んでいるとしている。ただし、電力供給の不安定化およびその他の要因により設備の再稼働に支障がでた場合、この見込みが遅れることもあるともしている。
また、他の製造工場への速やかな生産移行も併せて進められており、すでに美浦工場におけるウェハ処理量の約60%を代替しうる製造拠点を特定できているという。さらに追加で製品の生産移行を行うことで、割合を引き上げる計画。
美浦工場の状況は以下のとおり。
- 化学薬品、ガス、水、空調を供給するためのインフラ・システムが破損、修理に約3週間を要する見込み
- 電力の安定供給は不透明
- 漏水の発生により一部製造装置に被害。これにより製造装置の再稼動が不透明
- 処理中の一部ウェハに損傷があったが、その約40%はカスタマに提供できる状態に回復できる見込み
- 美浦工場の建屋に若干の損傷があったが、構造上の問題はなし
これらの回復作業には美浦工場、日出工場、ダラスのTI本社およびマレーシア工場の社員からなるチームがあたっており、追加人員も投入予定としている。
なお、美浦工場は2010年度、TI全体での生産量の約10%(金額ベース)を生産しており、その3分の1以上はDLP製品で、残りが電源ICを含むアナログ半導体製品で構成されている。
また、同社会津工場も今回の地震の影響を受けたものの、製造装置はすでに再稼働し、電力の安定供給が確保され、他の予期せぬ要因がなければ、4月中旬までに全面稼働となる予定としているほか、日出工場には損傷はなく通常稼働しているという。