宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、3月11日14時46分頃に発生した東北地方太平洋沖での地震「東北地方太平洋沖地震」に対し、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による緊急観測を実施していたが、3月14日10時11分頃(日本時間)にだいちに搭載した高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)を用いて、再度現地の緊急観測を実施、ほぼ全域にわたり雲の少ない画像を撮影したことを発表した。
図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3、2、1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており、人の目で見た色に近くなっている(明るい白色は雪や雲)。
図2は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月27日に観測された画像から、多賀城市から相馬市沿岸域を拡大したもの。アブニール・ツーのバンド4、3、2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と雲(白色)が明瞭に区別できるため、地表面の様子をとらえることができ、相馬市から名取市、多賀城市まで非常に広範囲に渡り、沿岸部が広く冠水している様子(災害後に紺色に変化)が見て取れる。
図3は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月27日に観測された画像から、陸前高田から南三陸まで地域を拡大したもの。海上(紫色枠)において、津波に流された漂流物と思われるものが確認できたという。
図4は、図3から陸前高田~気仙沼南の地域を拡大したもので、広範囲に渡り、冠水している様子が見て取れる。
図5は、図3から本吉町を拡大したもの。海岸線から離れた地域まで広く冠水している様子が分かる。
図6は、図3から南三陸町を拡大したもの。町全体が広く、冠水している様子が分かる。
図7は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月27日に観測された画像から、石巻市付近を拡大したもので、北上川の上流まで冠水している様子と、石巻湾に面する平野部が冠水している様子を確認することができたとしている。
なお、取得された画像は、内閣府を始めとする防災関係省庁、地方自治体に提供する方針で、今後も当該地域を継続して観測する予定としているほか、国際災害チャータの枠組みを通して提供を受けたドイツのRapidEye(ラピッドアイ)により2011年3月13日11時20分頃に東北地方の三陸沿岸を観測したデータの解析を実施、得られたデータを、内閣府防災および国交省河川局へ提供したとしている。