宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、3月11日14時46分頃に発生した東北地方太平洋沖での地震「東北地方太平洋沖地震」に対し、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)とパンクロマチック立体視センサ(プリズム)、Lバンド合成開口レーダ(PALSAR:パルサー)による現地の緊急観測を実施した。
アブニール・ツーとプリズムによる観測は2011年3月12日10時28分頃(日本時間)に行い、PALSARについては2011年3月13日22時11分頃、それぞれ観測を実施した。
図1は、アブニール・ツーのバンド3、2、1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示されたもので、人の目で見た色に近くなっている。明るい白色は雪や雲だが、雲の隙間から市街地や農耕地が冠水している様子を確認することができる。
図1:今回観測した画像全体(観測日時:2011年3月12日10時28分頃(日本時間)、センサ:AVNIR-2(アブニール・ツー)、ポインティング角:0°、色枠が図2の範囲)(出所:JAXA Webサイト) |
図2は、災害後の2011年3月12日および災害前の2008年5月17日に観測されたプリズムとアブニール・ツーから作成されたパンシャープン画像。黄色い枠が津波により冠水していると考えられる箇所で、今回は観測範囲から外れたが東側には仙台空港がある。ここは太平洋岸から5kmルほど内陸に入った地域だが、津波がここまで達していることから今回の地震の大きさが伺えるとJAXAでは説明している。
図3は、PALSARでの災害前の2008年6月21日観測の画像を赤に、災害後の2011年3月13日観測の画像を緑と青に割り当てたカラー合成画像。
図4は、(a)が仙台市、(b)が亘理町、(c)が相馬市、(d)が南相馬市のカラー合成画像。海岸付近の赤色に変化している箇所は災害後にレーダー反射が弱くなったところで、津波で冠水したものと考えられるという。
図5は、仙台市からいわき市にかけての海岸線全体の様子を示しており、画像中央より上の海岸線全域が赤く色づいていることがわかる。
なお、JAXAでは今後もだいちによる当該地域への観測を継続していく予定であるとしている。