宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2011年1月下旬より開始した小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った微粒子の初期分析の一部の結果を米国で開催されている第42回月惑星科学会議で発表した。

今回発表された内容は、はやぶさのカプセルから回収された50個程度の微粒子に対して行った初期分析の結果で、岩石質と同定された微粒子(0.03~0.1mm)の3次元構造ならびに主要元素組成、酸素同位体比の分析結果により得られた物質科学的特徴は特定種の石質隕石の特徴と合致するという。

また、宇宙風化作用の痕跡ならびに希ガスの分析結果から、微粒子はイトカワ表面に由来する事が明らかにされたほか、1つの岩石には複数の鉱物種が存在し、複雑な3次元構造をしている。

岩石質粒子の一例(走査型電子顕微鏡による画像)

なお、現在のところ、有機物の証拠は同定されていないという。

大型放射光施設(SPring-8)によって得られたX線透視画像(左)と鳥瞰図(右)の一例(提供:大阪大・土`山明教授)