シマンテックは3月8日、都内で記者説明会を開催し、2011年度における同社の重点施策に関する説明を行った。
同社が2011年度の重点施策として掲げるのは「ディストリビューション・チャネルのシェア向上」「OEMパートナーへのエンベデッド ソリューション」「Big Enterpriseにおけるビジネス強化」「クラウドサービス」の4つ。
「ディストリビューション・チャネルのシェア向上」は、エンドユーザーやSMB(中小企業)市場での売上増大を示すものだが、同社はコードネーム "Amber(アンバー)" と呼ばれる「Symantec Endpoint Protection 11」の次期製品(今夏にリリース予定)や、「Symantec Backup Exec System Recovery 2010」の次期製品の投入が主な具体的施策の1つとされる。
とりわけ "Amber" には同社独自の「Symantec Insight(シマンテック インサイト)」と呼ばれるリスク要素の検知技術が搭載されるほか、"世界最大"とされる同社製品ユーザーのネットワーク「ノートンコミュニティウォッチ」によるフィードバックが脅威への対策として生かされることになる。
「OEMパートナーへのエンベデッド ソリューション」は、すでにサーバやストレージ製品に対するソフトウェア提供という形で富士通やNEC、日立製作所との協業が実現しているが、このビジネスは「過去最高ペースの売上実績」(シマンテック 代表取締役社長 河村浩明氏)と順調に成果を上げているという。
同社は先月、NTTドコモとの共同開発製品としてノートPC向け情報漏えい対策ソリューションを発表しているが(具体的な製品はNTTドコモから今秋発売予定)、これも「OEMパートナーへのエンベデッド ソリューション」における具体的な施策の1つとなる。このモバイル領域について同社は、「キャリアとの協業も今後セキュリティベンダーとして生き残っていくためカギ」(河村社長)とし、「世界最大のセキュリティベンダーとしての強み」(同氏)を生かし、KDDIやソフトバンクモバイルを含め、通信事業者との連携をさらに進めていく考えを示した。
リモート操作で強制的にシャットダウンされたノートPCの画面(クライアントPCはインテル アンチセフト・テクノロジーに対応している必要がある。シャットダウンされたため、ノートPCからプロジェクタへの映像信号がストップした様子) |
「Big Enterpriseにおけるビジネス強化」は、主にストレージ最適化や運用管理の標準化、可用性確保といった要素を実現する「ソフトウェアの提供」を 中心としたデータセンター向けのソリューション(同社は「データセンタートランスフォーメーション」と呼んでいる)。
「クラウドサービス」は、クラウドサービスプロバイダ(ホスティング事業者など)を通じてユーザーにソフトウェアやソフトウェアの"機能"を提供するもの。すでにパートナー企業である富士通マーケティングが中堅企業向けクラウド型ウイルス対策サービスとして「Business Security Technical Service」を提供開始しているが、今後シマンテックは「Symantec.cloud(シマンテックドットクラウド)」というブランドで、同社が有するセキュリティソリューションを順次クラウド化する。
このような「重点施策」などの展開により、同社は「2014年にセキュリティ、ストレージ、バックアップソフトの分野でNo.1になる」(河村社長)という目標を掲げている。
また河村社長は、先日手続きが完了したインテルのマカフィー買収について、「セキュリティは、すべての機能をハードウェアに実装すれば解決するというものではないはず。我々にも勝算はある」とし、同社としてはデータセンターやサーバ側の技術やソリューションに注力することで対抗していく考えを示した。