日立製作所は3月9日、ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)などの環境対応自動車に使用されるパワー半導体の需要拡大に対応するため、同製品の生産能力を従来の2倍に増強することを決定した。

同社は現在、ダイオード、高耐圧IC、IGBTモジュールなどを主軸としたパワー半導体事業を展開しているが、高耐圧ICでは、高耐圧デバイス技術とモータードライブ技術とを融合し、1990年にエアコンファンモーター駆動向け1チップインバータICを開発したほか、IGBTでは、1993年に鉄道車両インバーター用モジュールを製品化、以来それらのノウハウを基に、高出力密度、長寿命化技術を強みとした製品を環境対応自動車、分散型発電設備用途などに市場投入してきた。

設備投資としては、2004年9月に約20億円を投資し、日立事業所臨海工場内にあるパワー半導体のウェハ製造工場を3,000m2増設していたが、今回、需要拡大が期待される環境対応自動車用IGBTモジュールの生産体制を現在の2倍に増強することを目指し、約10億円を投資し、パワー半導体の組み立てを行っている日立の子会社である日立原町電子工業の原町第二工場に製造ラインを増設することで、生産能力を現在の月産1万個体制から、2011年10月をめどに2万個へ引き上げる計画としている。

また、新たに増設する製造ラインでは、先端の自動化ラインを導入することで、リードタイムの短縮や生産効率向上を図っていくとしている。