Infineon Technologiesは、同社の32ビットマイクロコントローラ(マイコン)「TriCore」を採用した組み込み設計向けに、IEC 61508要件に準拠した機能安全を実現する包括的な設計パッケージを発表した。
IEC 61508規格で定義される通り、SIL(Safety Integrity Level)の各レベルにおいて、システムの認定を取得するために確認すべき事項が規定されている。これには、許容される不良率を実現する安全コンセプトやシステムの正確な動作を常に確認するセルフテスト機能が含まれており、実装時での要件遵守、および対応する形式での完全なテストを実現する。
同社の提供するセーフティIC「PRO-SIL」では、TriCore向けのSafeTcoreと、同社が開発したセーフティモニタチップ「CIC61508」が含まれているほか、Hitex Development Toolsとの協力により、TriCoreとCIC61508による包括的なサービスパッケージとSafeTkitボードレベル・ソリューションが提供されており、可能な限り容易に、SILに準拠したアプリケーションの認定を行いつつ、設計リソースを節約してカスタマ製品の市場投入期間を短縮することができるようになっている。
高水準のSIL安全要件を達成するため、SafeTcoreには、CPUのセルフチェックを含む詳細なチップテストを目的とした、TriCoreのゲートレベルテスト、レジスタ内容のチェック、メモリチェック(RAM、Flash、キャッシュ)、バス診断チェック、アルゴリズムの結果比較、タスクシーケンス、実行時間のモニタリング、およびMPUチェックの機能が搭載されている。これらの中核的なテスト機能に加え、詳細な周辺機器テストや安全モニタチップの自動サポートといった特徴も併せ持っており、同ライブラリのソフトウェアテストのセットを使用することで、99%以上の診断範囲により、コードを安全に実行できるようになるほか、安全マニュアルも含まれていることから、これにより、ライブラリの各種エレメントをユーザーのアプリケーションに統合し、安全性インテグリティレベルを承認することができるようになる。
同社では、これまでの車載用システムの厳格な安全要件に関する豊富な経験を活かし、PRO-SILの開発を推し進め、TriCoreのポートフォリオを基盤とした高水準のセーフティ・ソリューションを活用することで、産業市場のニーズの高まりに応えていく方針としている。
なお、SafeTcoreと認証用マニュアルは現在、「TC1767」、「TC1797」、「TC1387」のプロセッサで提供されており、近日中に「AUDO MAX」ファミリ向けに提供される予定であり、TriCore評価ボードとCIC61508を採用したSafeTkitは、2011年4月より、HitexのWebショップを通じ1495ユーロで提供される予定となっている。