Analog Devices(ADI)は、高温アプリケーション向けに設計・製造された高精度計装アンプ「AD8229」を発表した。同製品は、ノイズレベル1.0nV√Hzの高温対応品で、石油掘削、ジェットエンジン、宇宙探査などといった極限環境でも最高210℃まで性能を保証する低ノイズ計装アンプとなっている。すでに量産出荷を開始しており、1000個受注時の単価は120ドル(米国での参考価格)となっている。

高温アプリケーション向けに設計・製造された高精度計装アンプ「AD8229」

従来、システム設計者は、高温動作向けに特別に作られたものではない部品や、商用の低い温度範囲で動作するように設計された部品を用いて、ノイズが多くかつ高温という厳しい環境に対応する必要があったが、商用温度範囲で動作する製品を用いたシステムは、修理後の再稼働率の割合が低く、逆に補修や稼働のコストが高くなっていた。同製品は、高温でかつ過酷で厳しい環境向けに電子機器を設計している技術者が直面しているこれらの課題に対応でき、保守や稼働のライフサイクルを改善することが可能となると同社では説明している。

同製品は、高温アプリケーションにおいても3つの重要な性能カテゴリ「CMRR(同相ノイズ除去比)」、「電圧オフセット」、「入力ノイズ」のすべてにおいて、クラス最高級の性能を実現している。

CMRR性能は、-40℃から210℃の温度範囲にわたって、最小100dB(ゲインG=10)を実現しており、入力電圧オフセットは、全温度範囲にわたって100nV/℃を実現している。入力ノイズは最大1.0nV/√Hzで、出力ノイズは最大45nV√Hz、スルーレートは25V/μsで全高調波ひずみ(THD)は120dB(G=1、1KHz)となっている。