フィンランドNokiaは3月7日、UI/アプリ開発フレームワーク「Qt」の商用ライセンス事業をフィンランドのソフトウェア会社Digiaに売却する計画を発表した。金額などの詳細は公開されていない。Nokiaの担当者は、「Nokiaのコア事業ではない」と述べている。
QtはオープンソースのUI/アプリケーション開発フレームワークで、2008年に買収したノルウェーTrolltechにより獲得した。Nokiaは2009年にLGPLにライセンスを変更、商用とデュアルライセンス方式で提供している。2010年のダウンロード数はNokiaのWebサイト経由のみで150万以上、これは2009年の2倍という。
今回Nokiaは、Qtの商用ライセンス/サービス事業をDigiaに売却する。Nokiaによると、現在3,500社以上がQtの商用ライセンスを利用しており、この数は増加しているという。売却の理由について、NokiaでMeeGo/Qt/WebKit担当副社長のSebastian Nystrom氏は、「プロフェッショナルサービス事業はNokiaのコア事業活動ではない」と説明している。
Qtは、「Symbian」「MeeGo」を中心としたこれまでのNokiaのプラットフォーム戦略に沿うべく、SymbianとMeeGoに対応しているが、Nokiaは2月、米Microsoftと戦略的提携を発表、「Windows Phone」をスマートフォンの主要プラットフォームとすることを発表している。QtはWindows Phoneに対応しておらず(「Windows Mobile」には対応している)、NokiaはMicrosoftの開発ツールを利用するとしている。
Nystrom氏は同時に、Nokiaは今後もQtに「長期的にコミットしていく」と強調、「Qt Quick」「Qt WebKit」、それにHTML5などにフォーカスして開発を進めるとしている。
Digiaへの売却は2011年3月に完了を見込む。