シリアルATAなら何でもOK! HDDの追加&取り外しが自由自在
まずは、Droboシリーズの基本的な機能を確認しておこう。ラインアップは5モデルで、4スロット、5スロット、8スロットと3種類が用意されているが、基本的な考え方は同じだ。スロットに挿入するHDDはシリアルATA接続でありさえすれば、メーカー、回転速度、容量等を一切気にせず混載できる。専用のガイドなども不要だから、市販のHDDを自由に選択できるのもポイントだ。手持ちのHDDを有効活用できるのはもちろん、容量不足に陥った時も簡単に追加分のHDDを調達できる。
HDDの容量不足、故障などはすべてHDDの横のランプで示され、全体のディスクに対する利用量も一目で確認可能。利用中にHDDを抜いたり追加したりした場合は、自動的に再設定が行われる。再設定中はランプが点滅して、HDDの抜き差しができなくなるが、データの読み書きは継続される。つまり、接続してデータを利用しているユーザーには何の違和感もないままストレージの再構築は完了されるということだ。
これだけ自由でありながら、データはしっかりとRAID構成で保護されている。異なる容量のHDDが搭載されていても、最小容量HDDを基準にRAID構築が行われ、容量がムダになることもない。独自のBeyondRAIDテクノロジーによって、容量を無駄なく使い切りながらデータ保全も可能にしているのだ。
最大3TB×8台のHDDが搭載できる「DroboPro」
企業で利用されるデータは増加するばかりだが、中・小規模企業では大容量ストレージを導入したくても、コストやリソースの面で難しいケースがあるだろう。そんな企業にオススメしたいのが8スロットを搭載する直接接続型ストレージ「DroboPro」だ。
DroboProは大容量とiSCSIでの接続を必要としているユーザーのためのモデルである。作成できるボリューム数は16個で、接続方法はUSB 2.0、FireWire 800、iSCSIの3種類。対応ファイルシステムはNTFS、FAT32、HFS+、EXT3の4種類だ。
サーバに接続する外部ストレージやサーバデータのバックアップ媒体としての利用など、DroboProは容量、コスト、使い勝手などさまざまな点において法人需要にこたえる力を持っている。もちろん、映像などを扱う関係で大容量を必要としている個人にとっても扱いやすいものになるはずだ。仮に、3TBのHDDを8本搭載した場合には、18.72TBの大容量HDDとなってくれる。
ターゲットが法人メインである製品になっても、Droboの親切さに変わりはない。フロントパネルはマグネット式で簡単に取り外すことができ、上下を間違えてつけても何ら問題はない。半透明になっているため、カバーを付けたままでもインジケーターはしっかり見える。
そしてカバー裏にはインジケーターの読み取り方が日本語で書かれたシールが貼り付けられている。通常運用時はこのシールだけで事足りてしまうほど、Droboの管理は簡単だ。利用開始時にはスタートアップガイドを参照しながら3つの作業をするだけでよい。あとはセッティングツール「Drobo Dashboard」で状態確認などができるから、十分だ。
DroboProは前述のBeyondRAIDテクノロジーに加え、データ認識機能を備える。同機能は、各ドライブにおいてデータが書かれている場所を検出し、ドライブの使用部分と未使用部分を見分けることができる。そのため、リビルド時間が短縮され、追加のディスクドライブ障害によってデータを失うリスクが低減される。DroboProでは、企業利用に耐えうる使い勝手と安全性を両立しているというわけだ。
さらなるDroboProのウリはコストパフォーマンスのよさだ。使いやすさと企業ユースに対応可能なスペックを備えていながら、20万円を切っている。また、HDDを簡単かつ予算に応じて追加できるので、購入当初から余分なHDDを用意する必要がない点も導入のハードルを下げている。
VMwareの仮想OSがインストールできる「DroboElite」
「DroboElite」はDroboProと同様に8スロット搭載の製品ながら、対応ファイルシステムにVMFSが追加されており、VMwareのゲストOSをインストールすることができるという特徴を備える。ボリューム数は255まで対応しており、接続インタフェースはUSBとiSCSIの2種類。USB接続は管理専用で、デスクサイドにおいてPCの外部ストレージとして使うタイプではなくなっている。
ここでは、簡単にVMwareの設定を紹介しておこう。Drobo製品らしく、設定の容易さは変わらない。ただし、ボリュームを作る時にVMware側で1LUM当たり2TBまでしか認識されないことには注意が必要だ。それさえ忘れなければ、ボリュームの作成自体は「Drobo Dashboard」で簡単にできてしまう。設定後は、VMware側からiSCSI接続のストレージとして設定すればOKだ。
DroboEliteをVMwareで使うメリットはテスト環境の構築にあるだろう。Droboの大きな特徴である"寄せ集めのHDD"でも十分に働いてくれることや容量拡張が自在なことを生かすならば、本格運用する仮想サーバを構築するのではつまらない。それならば、専門の堅牢なストレージを使ったほうがさまざまな面でメリットがあるだろう。
DroboEliteで構築された仮想環境に向いているのは、身軽さを生かした使い方だ。例えば、とりあえずすぐに仮想サーバを立てたい場合に向いているし、実験的な使い方もしやすい。容量の拡張が容易だから、「今すぐ仮想サーバを立てたいのに容量不足で対応できない」ということもないはずだ。
仮想環境ということは容量が足りなくなることもあれば、仮想マシンが削除されて容量が余ることもあるわけで、どちらの場合にもムダなく対応できるのが理想だ。社内に構築する小規模なサーバやテストサーバならば、ストレージに関する知識がなくてもVMwareの知識だけで自在に作業できるのがポイントだ。
さまざまな使い方に対応するDroboシリーズ。家庭やオフィスで管理者の手を煩わせないストレージとして導入してみてはいかがだろうか。
DroboPro、DroboEliteともに現時点では、3TBのHDDには未対応。Firmwareの更新により、追って対応予定となっている。