三菱電機は3月3日、大都市間を結ぶ長距離大容量通信の送信用光源として、1チップに集積した43Gbps多値位相変調(RZ-DQPSK:Return to Zero Differential Quadrature Phase Shift Key)方式の変調器集積波長可変レーザーを開発したことを発表した。

これまで別々のチップで構成していた波長可変レーザーアレイと強度変調器および位相変調器の3つの機能を1チップに集積したもので、それぞれの機能は以下のとおり。

  1. 1572nmから1612nmの出力波長を設定できる分布帰還型半導体レーザーアレイ
  2. 強度変調を行うマッハツェンダー型の強度変調器
  3. 多値位相変調を行うマッハツェンダー型の位相変調器

材料には波長可変レーザーアレイと同じInP系半導体材 料を採用し、1チップにモノリシック集積しつつ、チップサイズ9.6mm×0.75mm×0.1mmを実現した。これらの機能を実現する面積は従来の複数のLiNbO3(LN)マッハツェンダー型変調器モジュールと波長可変レーザーアレイモジュールを組み合わせて構成していたソリューションに比べ1/100に小型化されたほか、チップを組み込んだ送信モジュールの堆積も従来ソリューション比で1/3へと小型化が可能となったという。

43Gbps RZ-DQPSK変調器集積波長可変DFBレーザーの構造

また、波長可変レーザーアレイは発振波長が約3.7nmずつ異なるDFB(Distributed Feed-Back)半導体レーザーを12個並べたもので、半導体レーザーの温度を25℃から65℃の範囲でコントロールすることで、ITU-Tが規定する95波長分の波長可変範囲から任意の波長を1波長出力することが可能で、位相変調器部分は、27dBの消光比と駆動電圧2.5Vを実現している。

発振波長スペクトル

同社では今後、さらなる高出力化、低消費電力化、変調波形の改善などの性能向上を図るとともに、光通信で用いられる他の波長帯(C帯:1530nm~1570nm)に対応する光源の開発を行う予定としている。

消光カーブ

なお、今回の内容の詳細は、2011年3月6日から10日(米国時間)にかけて米ロサンゼルスで開催される光通信分野の国際学会「OFC 2011」にて発表される予定。