ARMは、同社のプロセッサコア「ARM Cortex-Mシリーズ」をベースとしたマイクロコントローラ(マイコン)向けに、各マイコンベンダのCortex-Mシリーズ・プロセッサをサポートするソフトウェア開発環境「Keil MDK-Professional」を発表した。すでに提供を開始しており、同社では今回の発売を記念し、2011年9月30日より前に出荷するMDK-Professionalに、無償でULINKproデバッグ/トレース・アダプタを付属させるキャンペーンを実施する。
多くの半導体ベンダが自社のマイコン製品にARMアーキテクチャとして、ARM Cortex-M0、Cortex-M3、Cortex-M4などを搭載するようになってきており、それと同時にサポート体制の充実が求められるようになってきていることが背景にあり、MDK-Professionalを用いることで、開発者はアプリケーションニーズに最適なCortex-Mシリーズ・プロセッサ搭載デバイスに組み込みソフトウェアを移行させることができるようになると同社では説明している。
MDK-Professionalは、マイコンアプリケーションの開発専用に設計され、ARM C/C++コンパイラとKeil RTX リアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS)、ミドルウェア・ライブラリを組み合わせたものとなっている。ツールはすべて、プロジェクト管理、エディタ、デバッガを1つの環境にまとめたμVisionに統合されており、ARM C/C++コンパイラのほか、GNU GCCコンパイラも使用することが可能となっている。
また、Keil RTXは、Cortex-Mプロセッサの機能を生かした小さなプログラム用メモリ内で使用できるRTOSで、MDK-Professionalに含まれる柔軟なファイル・システムのほか、イーサネット(TCP/IP)、USB、CANペリフェラル対応ミドルウェアなどにより、速やかな製品開発が可能となると同社では説明している。
さらに、マイコンを止めることなく実行中のアプリケーションをデバッグ/解析ができるULINKproデバッグ/トレース・アダプタを用いることで、ストリーミング・トレースを使って、実行されたすべてのCortex-M命令を記録。トレースされたデータを使用し、実行プロファイリングと総合的なコード・カバレッジ情報を提供し、アプリケーションの最適化と認定ができるようになる。
なお、Keil MDKの機能を限定したMDK-Liteは、同社Webサイトよりダウンロードして利用することが可能となっている。