角川グループホールディングスとグリーは2月24日、都内で記者発表会を開催し、コンテンツ事業において業務提携を行うことを発表した。
今回の提携の主な目的は、「角川グループのコンテンツ力とSNSとの融合による相互の収益の最大化」。今回の提携により角川グループは、電子書籍サイト「BOOK☆WALKER」と「GREE」との連携を前提としたアプリ「ソーシャル電子書籍アプリ」を提供することになる。
提携の第1弾として角川グループは、ライトノベル発の人気アニメ「GOSICK」のソーシャルアプリ(ゲーム)の「GREE Platform」上での提供を近日中に開始する。以降は角川会長が"キラーコンテンツ"と語る「涼宮ハルヒの憂鬱」をはじめ、「源氏物語」「ぺらぶ!a cappella love!?」などのソーシャルアプリが順次提供される予定。
「ソーシャル電子書籍アプリ」は購入した書籍を友人と紹介しあったり、本棚や書評を共有するといった「ソーシャルリーディング」を容易に実現する仕組みを提供するものとなるが、これに加えて「友人が欲しがっている書籍を購買してプレゼントする」(詳細については検討中とされる)といったことや、複数の友人と一緒に本を読み進める、ユーザーの選択によってストーリーが変わっていくといった、既存の書籍では実現が難しい新たなコンテンツ開発も共同で実施するという。
記者発表会では、グリー 代表取締役社長 田中良和氏が、同社とKDDIとの提携が実現した時の話に触れ「当時、"携帯電話とSNSの連携は難しいのでは"という声も多かったが、その後他の通信キャリアとのパートナー関係の構築につながるなど、結果的にはSNSの"新しい価値"を生み出すための突破口を開いた」と説明。今回の角川グループとの提携についても、「新しい価値を生み出すための第一歩である」として期待感を示している。
また角川会長は、ケータイ小説の総合サイト「魔法のiらんど」がグループ傘下に入ったことが同氏の価値観の大きなターニングポイントとなったことを明らかにし、その時に「これからは大衆がコンテンツをつくる時代なる」と確信したとしている。そして、スマートフォンなどのモバイル端末で本を読むことが当たり前となりつつある時代の流れの中で「(出版社としては)このような変化に対応できなければならない」とし、同社自身がこれから「"変化の台風の目"になりたい」と語って将来への意気込みを示した。