新日鐵化学は2月23日、透明導電膜(TCO:Transparent Conductive Oxide)を用いない独自構造により、樹脂基板による色素増感太陽電池の開発に成功したことを発表した。

開発したフレキシブル色素増感太陽電池の試作品

色素増感太陽電池は、薄く、軽く、フレキシブルそしてさまざまな色をつけるといったことが可能な太陽電池だが、一般的なSi結晶系太陽電池と同様、TCO膜を用いる場合、半導体層を透明基板に焼結させる過程での耐熱温度の問題から、ほとんどがガラスの上に成膜されていた。

また、TCO膜構造による樹脂基板を採用した場合、耐熱温度の問題に加え、電気抵抗を下げるために集電配線を用意する必要も生じることから、今回、同社ではTCO膜を用いない独自の構造を開発。これにより、薄型、軽量そしてフレキシブルという特長を発揮できる樹脂基板型の色素増感太陽電池を実現した。同基板は、集電配線も不要としていることから、複数の発電色素と組み合わせることでカラフルな絵画のような設計も可能となっており、今後、用途開拓や利用アイテムなどの模索を行い、実用化へ向けた取り組みを行っていくとしている。