シー・エス・イーは2月18日、パートナー向けセミナーを開催し、ワンタイムパスワード認証システム「SECUREMATRIX」の2011年の販売戦略、キーとなるテクノロジー、開発ロードマップなどを発表した。同社はパートナーの販売活動を促進するため、同製品のAPI開発と連携、クラウドサービスへの対応に注力する。

PARTS戦略でパートナーと"WINーWIN"の関係を

シー・エス・イー ICT本部 本部長 玉井成知氏

シー・エス・イー ICT本部 本部長の玉井成知氏は、同社の看板商品であるSECUREMATRIXの2011年の販売戦略について、「"PARTS(Parts As Required Technology of SECUREMATRIX)戦略"、低価格プリインストールモデルサーバ(AP612)"、"パートナー支援・提携の強化"を柱とする。これらのうち、最も大きな柱がPARTS戦略」と述べた。

PARTS戦略とは、同社のパートナーが注力している製品やSSL-VPN以外の新たな製品/サービスへSECUREMATRIXをアタッチメントするための戦略で、「パートナーとの協業による売上拡大」、「新たな市場開拓」、「市場シェアの奪取」を指針としている。これらによって、同製品を販売しやすくすることで、同社とパートナーの双方の利益を拡大することを目指す。

「新たな市場としては、現時点ではシェアがあまり取れてない特権ID管理や統合ID管理といった市場を狙っていく。また、ワンタイムパスワード市場では、残念ながら第2位に甘んじているので、競合が圧倒的なシェアを有する金融業やサービス業を攻めることで、シェアを拡大したい」

具体的には、「市場」「パートナー」「クラウド」をキーワードに活動を行っていく。市場に対しては、マトリクス認証の利用シーンの拡大を図るとともに、連携するソリューションや端末を増やすことで、同製品の認知度を上げていく。パートナーに対しては、パートナーの製品との連携を推進し、製品を抱えているベンダーとのAPI連携を進めることで、同製品を少しでも販売しやすいようにする。最後のクラウド対応については、クラウドサービスと連携することを容易にする機能を実装していく。

同氏はPARTS戦略のキーテクノロジーとして、APIとサービスを挙げた。SECUREMATRIXのAPIはクライアント用とサーバ用が提供されている。これらAPIを活用して、パートナーとの連携を増やしていく構えだ。昨年は、ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンのSSL VPNアプライアンスとの連携が発表された。サービスとしては、PaaSやSaaSとの連携、VMwareの仮想化環境への対応がある。

シー・エス・イー ICT本部 事業企画部 課長 阿久津茂郎氏

そのほか、米国支社による北米でのビジネスもPARTS戦略を支える重要な要素だ。北米では、JWayというパートナーと日本では未発表のiOS APIを用いてiPhoneアプリにSECUREMATRIXを組み込んだ形でリリースを開始している。同アプリでは、クーポンを探して店舗で利用する際にSECUREMATRIXによる認証を行って、その店舗のクーポンであることを確認する。また、オンラインゲームとの提携も進められており、SECUREMATRIXによる認証を導入することで、ゲーム内で購入した武器やゲームで勝ち取った戦利品が盗まれるのを防ごうとしている。

SECUREMATRIXの認知度の向上においては、同社のマーケティング部隊がカギを握る。ICT本部 事業企画部 課長の阿久津茂郎氏は、2011年度の取り組みについて、「昨年はできなかったチャネルマーケティングに踏み出したい。パートナーとマーケティング部隊が情報を共有することで、効果の高い施策を考えていく。また、市場に対してメッセージを積極的に出していきたい。先月、SECUREMATRIXを用いたテレワークの実践により、『テレワーク推進賞』を受賞した。SECUREMATRIXの利用によって得られるメリットとして"セキュリティ強化"、"コスト削減"、"利便性向上"が認められた結果と言える」と話した。

SECUREMATRIXの開発ロードマップ

シー・エス・イー ICT本部 事業企画部 部長代理 河野数男氏

ICT本部 事業企画部 部長代理 河野数男氏からは、SECUREMATRIXの開発ロードマップに関する説明が行われた。PARTS戦略に向けた開発の取り組みとしては、APIとSECUREMATRIX本体において開発が行われる。

クライアントAPIについてはFlash、iOS、Android向けのAPIの開発が、また、サーバAPIについてはUNIX C向けのAPIの開発が予定されている。本体については、クラウドサービスとの連携強化が行われる。

現行のバージョンは「3.3.2」だが、今年4月にはクラウドサービスである「Salesforce.com」に対応した新バージョン「3.4.0.K」がリリースされる。さらに、「3.4.0.K」をベースとした「3.5.0」が今年11月にリリースされる予定だ。同バージョンはメジャーバージョンアップとして「無停止で復旧できるクラスタ」と「グループ別ポリシー機能」を新たに装備する。

同社はパートナーからもらったリクエストを機能拡張として盛り込む活動を行っており、その一環として、2月末にはバージョン3.Xからのデータ移行ツールを提供するという。

クラウド環境の導入が進むと、認証の重要性はますます高まるとともに、これまでとは違ったテクノロジーが求められることになるだろう。そうしたなか、端末を選ばず、認証デバイスを必要としないワンタイムパスワードを実現するSECUREMATRIXに対するニーズは高まっていくに違いない。