丸紅情報システムズ(MSYS)は2月18日、MEMS設計用ソフトウェア専業の米Coventorが開発したMEMS用協調設計ソフトウェアの最新版「MEMS+ 2.0」の販売を2011年3月1日より開始することを発表した。価格は使用期限1年間のバージョンで400万円(税別)となっており、同社では発売開始から1年間で1億円の販売を計画している。
MEMS+ 2.0では、従来からの機能に加え、電子デバイス開発において上流工程のシステムレベル設計で広く用いられているThe MathWorksのシミュレーションソフトウェア「MATLAB/Simulink」に対応するMEMSの設計データを出力できるようになった。
MEMSデバイスは半導体デバイスと異なり、3次元の機構を持つためそのための専門知識や環境を必要とするため、多くの企業でMEMSの設計に携わる部門は、電子デバイスの設計に携わる部門から独立して組織化されている。 しかし、システムレベル設計の工程で、MEMSを含めた電子デバイスの総合的な動作解析を行う場合、MEMS専用設計ソフトで作られたMEMSの設計データを、システムレベル設計用シミュレーションソフトで読み込み、解析できる形式に手作業で変換する必要があり、そのため、MEMS設計担当者とシステムレベル設計担当者の間でコミュニケーションをとりつつ、精度の高い解析の行える設計データを作成する手間と負担がかかっていた。
同ソフトを用いることで、システムレベル設計の工程で、MEMSを搭載する電子デバイスの総合的な動作解析が高い精度で実現可能となり、MEMSに関連する設計上の不具合の早期検出に貢献できるようになると同社では説明しているほか、システムレベルより下流の設計工程へ高品質の設計データを提供し、設計のやり直しや仕様の変更にかかる工数も削減できるとしている。
また、MEMS+ 2.0では、シミュレーションソフト用に出力する設計データの品質を向上させ、シミュレーションソフト上での解析速度を高めることに成功している。これにより、従来より対応している米Cadence Design SystemsのカスタムIC設計・検証ソフトウェア「Virtuoso」でのMEMS設計モデル解析が、より高速に行えるようになったほか、MEMSモデルを構成するための各要素を表現するライブラリも拡張しており、加速度センサ、圧力センサなどの多様なアプリケーションの設計にも対応できるようになったという。