eビジネス推進連合会(以下、JeBA)は2月16日、インターネット関連ビジネスの最新動向と今後の展望をまとめたレポート「eビジネス白書 2011」を発行したと発表した。各種の調査結果を引用しながらインターネット関連ビジネスの各分野の現状を解説しているほか、著名企業の経営トップに対するアンケート結果や、インターネットユーザー4000人に対する調査結果なども収録されている。

eビジネス白書 2011

JeBAは、昨年2月に発足した一般社団法人。楽天 代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が会長を務め、副会長にヤフー 代表取締役社長の井上雅博氏、幹事にサイバーエージェント 代表取締役社長CEOの藤田晋氏が名を連ねている。「eビジネスの拡大とITのさらなる活用により日本の競争力強化を実現する」、「eビジネスを中核としたサービス全般を行う法人、個人事業主、自治体、団体等のサービス利用者の支援」の2点を目的/目標として掲げており、政策提言や調査/研究、勉強会/フォーラムの開催などの活動を行う。

今回発表されたeビジネス白書 2011は、こうした活動の中で実施された調査/研究の結果を取りまとめたもの。大きく「eビジネスにおける各ジャンルの現況解説」、「業界をリードする経営者に対するアンケート結果」、「会員企業に対するアンケート結果」、「ユーザーに対するアンケート結果」の4部によって構成されている。

これらのうち、各ジャンルの解説では、eビジネスを「eコマース」、「ポータル」、「情報サイト」、「広告」、「SNS」、「ソーシャルアプリ」、「金融」、「電子マネー」、「決済」、「トラベル」、「人材サービス」、「クラウド・webインテグレーション」、「スマートデバイス」、「電子書籍」の13分野に分け、2010年の状況と2011年の展望を大まかに説明。さらに、技術動向や、アメリカ/ヨーロッパ/中国/韓国/東南アジアの海外5地域の概況を紹介しているほか、5人の証券アナリストの市場分析レポートも掲載している。

発表会で白書の概要を紹介したJeBA 事務局次長の小澤隆生氏は、大きな特徴の1つとして海外の動向を取り上げている点を挙げ、「海外の最新情報を俯瞰でまとめた資料はあまりないので、参考にしていただけると思う」と説明。特に東南アジアの情報は少ないとしたうえで、「各国の通信サービスがどのような状況で、どういったインターネットサービスが利用されているのかを知っている方は多くないので重宝するのではないか」とコメントした。

また、証券アナリストの分析に関しては、「どのアナリストも『ソーシャル』、『スマートフォン』、『グローバル』といったキーワードを挙げており、今年最も注目されている技術分野であることがうかがえる」と説明した。

続く、経営者に対するアンケート結果では、各ジャンルをリードする企業56社の全アンケート結果とその分析レポートを掲載。2010年の成長度合いや2011年の注力分野などに加えて、2010年と比較して5年後/10年後の市場規模はどの程度になるかといった質問の回答も掲せている。市場規模予測に関しては、「なかには10年後に30倍になると予測した企業もいた」(小澤氏)というが、平均でも5年後に2.7倍、10年後に6.3倍という結果になっており、まだまだ発展段階にあると考えている経営者が多いことを示している。

一方、会員企業に対するアンケート結果では、1200社を超える会員企業に対して実施した調査の結果を掲載している。回答があったのは273社で、従業員数は数人から1000人以上までさまざまな規模の企業が含まれているが、2010年度は73%の企業が売上増を達成し、約3割が20%以上の増加を記録していることなどが報告されている。

そして、ユーザーに対するアンケート結果に関しては、調査会社に依頼して実施した4000人の回答からインターネットの利用状況を分析。情報経路の調査では、商品/サービスの認知、詳細情報の入手、評判の調査のすべての段階においてインターネットがもっとも多く利用されていることが明かされているほか、旅行の手配においては、宿泊予約で87%、乗車チケット予約で72%がインターネットを使っているという。また、電子書籍に関しては、現在の月間利用額は平均370円だが、数年先には平均1050円にまで増えると推測されている。

なお、eビジネス白書 2011は会員企業向けに提供され、現在のところ一般販売の予定はないという。また、今後は毎年発行される計画になっている。