ソフトウェア・エー・ジー 代表取締役社長 須崎弘一郎氏

ソフトウェア・エー・ジー(以下、ソフトウェアAG)は2月15日、記者説明会を開催し、IDSシェアー統合後の"新生ソフトウェアAG"として新たな事業方針を発表した。テクロノジーを強みとしていた同社はビジネスレイヤーの製品群を有するIDSシェアーとの融合により、包括的なBPMソリューションの提供を目指す。

代表取締役社長の須崎弘一郎氏は、新たな事業戦略について、「"カスタマーファースト"をベースに"顧客サポート"、"パートナー戦略"、"コンサルティングサービス"、"製品戦略"という4つの柱の下、"ビジネス・プロセス・エクセレンス"を追求していく」と説明した。

ビジネス・プロセス・エクセレンスとは、BPM(:ビジネス・プロセス・マネジメント)を進化させたもので、同社が掲げるBPMの成熟度において最も高い「レベル5」を顧客に達成してもらいたいという願いが込められている。

ビジネス・プロセス・エクセレンスの概要

このビジネス・プロセス・エクセレンスという概念を実現すべく、「Strategize」、「Design」、「Implement」、「Compose」、「Execute」、「Monitor&Control」という6つのフェーズから成るBPMのライフサイクルの下、両社の製品は統合が進められる。

ビジネスレイヤーに属する「Strategize」と「Design」はIDSシェアーのARISシリーズがカバーし、ビジネスをモデルに落とし込む。モデルを実行するテクノロジーレイヤーに属する「Implement」「Compose」「Execute」はソフトウェアAGのwebMethodsシリーズがカバーし、モニタリングは両シリーズで行う。

ビジネス・プロセス・エクセレンスを実現するライフサイクルの各フェーズに対応するソフトウェアAGの製品群

ソフトウェア・エー・ジー ソリューション・アーキテクト・マネージャー 高野忍氏

ソリューション・アーキテクト・マネージャーの高野忍氏は、「両社の製品を統合することで、設計・実装・実行といったBPM推進のすべてのフェーズを同一のモデルで実行できるようになる。これを強みとしていきたい」と、両社の製品を統合することによるメリットをアピールした。

同氏は今後の製品統合について、「ビジネスとITをつなぐモデル」、「EA&SOA資産管理」、「プロセスインテリジェンス」の3つの機能に分けて説明を行った。同社は両社製品の新バージョンである「ARIS 7.2」と「webMethods 8.2」のリリースを今年4月に、さらに次期バージョンのリリースを来年9月末ごろに予定している。

ビジネスとITをつなぐモデルは、ARIS 7.2とwebMethods 8.2においては同一のリポジトリをベースにした相互互換が実現され、将来的には現在策定中のBPMN 2.0にフルに対応した形で統合する。

EA&SOA資産管理は、ARIS 7.2とwebMethods 8.2においては「ARIS MashZone」のダッシュボードで各製品の管理できるようにし、将来的には各製品でデザインしたものを同期させることを実現する。

プロセスインテリジェンスも、EA&SOA資産管理と同様に、ARIS 7.2とwebMethods 8.2においては、ARIS MashZoneのダッシュボードによってARIS Performance ManagerとwebMethods Business Eventsを管理できるようにすることで統合を図る。「webMethods 8.2をリリースする際、複合イベント処理を行う『webMethods Business Events』を新たに追加する。これまで複合イベント処理は金融で利用されていたが、サプライチェーンや流通業界に適用していくことを考えている」と同氏。

須崎氏はこれまでの事業戦略と新事業戦略の相違点について、「ソフトウェアAGの活動はテクノロジーのインプリメントが中心だったが、IDSシェアーが統合されたことでビジネスレイヤーのコンサルティングまで対応することが可能になった。また、当社はこれまでパートナーを絞り込んでいると思われていたが、BPMは当社だけで実現できることではないので、パートナーと一緒に実現していくという姿勢を積極的に打ち出していく。さらに、新の意味での顧客満足を実現するため昨年から体質改善を進めているが、今年も引き続き行っていく」と説明した。