イオンは2月15日、NTT西日本やシャープ、ハーストーリィプラスと共同で、シャープの「GALAPAGOS」端末を利用することを前提としたネット事業を展開すると発表した。商用サービスの開始は今秋になる見通し。
今回の4社協業によるプロジェクトは、コミュニティの形成を前提とした「暮らしサポートサービス」の実現が目的とされており、ネットスーパーに限定するものではない。各社が有するリソースを活用して子どもや若者、主婦層、シニア層といった幅広いユーザーを獲得することを目指す。
このプロジェクトにおける各社の当面の主な役割は以下の通り。
- イオン
「GALAPAGOS」端末向けに開発した専用のインタフェース(「ファミリーバージョン」「シニア向けバージョン」など3種類を用意)上で「イオンネットスーパー」を展開。近くの店舗のチラシ情報や地域の情報、家族・シニア向けコンテンツなどを配信する。シャープから供給される専用の「GALAPAGOS」端末の販売も行う。
NTT西日本
同プロジェクトを同社の「家デジ(家まるごとデジタル化構想)」の一環として位置付けて「フレッツ光」の利用者拡大を目指すほか、ネットワークの設定やトラブル対応などのサービスを提供する。シャープ
イオンに対して専用の「GALAPAGOS」端末を供給するほか、各種コンテンツの配信基盤としてクラウドサービスを提供する。ハーストーリィプラス
約10万人とされる女性向けマーケティング事業の会員基盤を生かし、サービスやコンテンツ開発に際してアイデアやノウハウを提供する。
イオン 執行役 グループIT・デジタルビジネス事業 最高経営責任者 ジェリー・ブラック氏はこのプロジェクトの目的について「家族の絆を深めるためにさらなる付加価値を提供する」と説明。「WAONが当初、若者やビジネスマンを手始めに、シニアや主婦層に急速に普及した」(同氏)ことを例にとり、「このサービスも急速に広まる」と自信を見せた。
NTT西日本 代表取締役副社長 伊東則昭氏は、「今回のプロジェクトは、実はシャープと1年以上前から議論し続けてきたことであり、"コミュニティ形成"というアプローチについてイオンと考えが合致した」ことが協業のきっかけとなったとしている。また、「このプロジェクトは直接的なリターンよりも市場の広がりを優先しているものであり、価値観などに対する同意を得ることができれば今後はNTT東日本などの参画もあり得る」とした。
なお、シャープ 常務執行役員 国内営業統括 兼 国内営業本部長 岡田守行氏は、「"誰でも簡単に扱える端末の提供"という側面から、同プロジェクトに貢献したい」という考えを示している。
同サービスは今後、専用端末を貸与した上で200人規模でのモニターによる試行サービス(今春)実施。その後5,000人規模での実証実験(今夏)を経て、秋には全国を対象とした商用サービスが開始される予定。
この専用端末の販売目標は「サービス開始後2年間で30万台を第1段階の目標とし、その後50万~100万台規模に拡大したい」(イオン)とされているが、販売価格は現時点では未定。
また、同サービスの提供対象は当面は(イオンから販売されることになる)専用のシャープ製「GALAPAGOS」端末のみ。この点についてイオンは、「信頼関係をベースとした"ご縁"がもとになっていることもあり、現時点では(iPadやGALAXY Tabなど)他社製の端末にサービスを提供する予定はない」としている。