キヤノンは15日、業務用インクジェットプリンタ「DreamLabo 5000」を発表し、新たに業務用フォトプリンタ市場に本格参入した。DreamLabo 5000の発売は2011年9月を予定しており、本体価格は5,000万円(税別)。

「DreamLabo 5000」(オプションのペーパーデッキを装着)

DreamLabo 5000がターゲットとするのは、リテールフォトと商業印刷市場。キヤノンマーケティングジャパンでは、新たな市場に参入するという事業の多角化により、2015年には売上高1,000億円増を目標に掲げており、このうち600億円をリテールフォトと商業印刷市場で売り上げ、100億円をDreamLabo 5000関連の売り上げでカバーしたい考えだ。

2015年のキヤノンマーケティングジャパンの事業目標

「DreamLabo 5000」がカバーする印刷物

リテールフォト市場について、キヤノン代表取締役社長 内田恒二氏は、「この10年で写真に対する環境も大きく変わり、プリンタは一家に1台から一人1台の環境になっている。そして、エンドユーザーのフォトアルバムを美しい画質で提供してほしいというニーズも高まっている。DreamLabo 5000では、高画質なフォトアルバム、フォトカレンダも作成でき、新しい写真商材の開発も可能だ。DreamLabo 5000の投入は写真業界の活性化にもつながると考えている」と述べたほか、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長 川崎正己氏は、「リテールフォト市場は、昨年は1,200億円強の市場だが、2015年には1,500億円に拡大すると予想しており、魅力的な市場だ」と、新たな市場に期待を寄せた。

左からキヤノン 常務取締役 清水勝一氏、キヤノン代表取締役社長 内田恒二氏、キヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長 川崎正己氏

さらに内田氏は、「今回の製品はキヤノンが総力を挙げて開発した期待の大型製品だ。DreamLabo 5000の投入により、写真に関連するすべての市場に向け出力機器を提供できる環境が整った。デジタルフォト製品を提供するキヤノンにとって、画質に対する妥協は許されない。ピクサスと並ぶ主力商品に成長させていきたい」と、この市場に掛ける意気込みを語った。

「DreamLabo 5000」のターゲット市場

DreamLabo 5000では、同社の高密度プリントヘッド技術「FINE」を応用して新たに開発した最大305mm幅での印刷を可能にするプリントヘッドを搭載。インクは7色の染料インクを採用し、4色のCMYKに加え、フォトシアン、フォトマゼンダ、グレーを搭載している。グレーの採用により、カラーバランスのズレが少なく、安定した色表現が可能だという。また、オプションで写真補正やインクジェットカラーや銀塩調カラーなど、色見や色調を変えたカラーカスタマイズサービスも提供する。

印刷はヘッドを固定し、1回の用紙搬送でプリントする「ワンパス印刷」を採用。インクは、バッファータンクを備えた「ダブルインクタンクシステム」で、メインタンクが空になっても、バッファータンクに残ったインク(1リットル)で、しばらく印刷を継続できる。

バッファータンクを採用

カラーカスタマイズサービス

印刷解像度は2,400×1,200dpiで、印刷スピードは、L判(89×127mm)の場合は44枚/分、A4で20ページのフォトアルバムであれば1冊あたり72秒で印刷できる。印刷可能範囲は89×89mm~635×305mm。標準で2本のロールを搭載可能で、オプションのペーパーデッキ(税別500万円)により4本まで拡張でき、最大920mの連続印刷が可能だという。

「ワンパス印刷」

1本のロールがなくなるともう一方が自動給紙する「ダブルペーパーマガジンシステム」を採用

DreamLabo 5000では、高品位印刷のほかにも、メンテナンスのしやすさにもこだわっている。パーツをユニット化したほか、講習を受け資格を取得することにより、ユーザー自身によるメンテナンス作業も可能だという。そのため、化学薬品に直接触れる機会や刺激臭も排除したという。

DreamLabo 5000が狙うのは、センターラボと呼ばれる、比較的大規模なラボ。こういった場所では、すでに印刷ジョブの投入などのワークフローシステムが導入されており、DreamLabo 5000を導入することにより、これらのシステムに接続するためのインタフェースシステムの開発が必要になる。そのためキヤノンでは、ソフトウェアサポート、コール窓口、専任サービスを提供するほか、千葉の幕張に検証センターを設け、導入支援を行うという。

保守サービス体制