スカイアーチネットワークス クラウド型専用サーバ 「RouteCloud」スペック

スカイアーチネットワークスが2011年1月4日から提供を開始したクラウド型専用サーバサービス「RouteCloud」は、ハードウェアを1社が専有して、そこに仮想OSが提供されるサービスだ。ハードウェアを専有できる専用サーバでありながら、申し込みから利用までは最短で10分。納期に時間がかかるという専用サーバの問題点をクリアしている。しかも、初期費用は無料で、1カ月もしくは1年単位での契約が可能。必要なときに専用サーバを用意できるサービスとなっている。

「RouteCloud」で提供されるハードウェアの基本スペックは次のとおり。

  • CPU: 4vCPU
  • メモリ: 4GB
  • HDD: 500GB RAID1構成
  • ネットワーク: 100Mbps

ホストはCitrix XenServerで仮想化プラットフォームとして構築される。ここに2つの仮想OSがインストールされる。用意されるOSはその時点で最新のCentOS 5.4の64ビット版。仮想OSのひとつは本番環境での運用を想定し、もうひとつは試験環境での運用を想定したリソース配分になっている。

  • ホスト: Citrix XenServer 5.6.0
  • ゲスト: CentOS 5.4 64ビット版
  • 初期サービス: Webmin、ZABBIX agent、NTP

仮想OS No.1(本番機向け)

  • CPU: 2vCPU
  • メモリ: 2.5GB
  • HDD: 300GB

仮想OS No.2 (試験機向け)

  • CPU: 1vCPU
  • メモリ: 1GB
  • HDD: 150GB

仮想OSの1と2のリソースを合計しても、ハードウェアのスペックにはならない。この残りのリソースについてはホストが活用することになる。

なお、専用サーバを申し込むにはさきに会員登録しておく必要があるところに注意しておきたい。会員登録は最短で1営業日だ。登録が完了すればIDとパスワードを発行してもらえるため、このIDを使ってコントロールパネルへログインし申し込みを実施すればいい。

「RouteCloud」サービス

スカイアーチネットワークスの「RouteCloud」で最初に提供されるサービスをまとめると次のようになる。ここまで最短10分だ。あとは好きなようにシステムを構築していけばいい。なお仮想OSは2つ用意されているが、1つのみに限定してリソースを集約することもできる。

  • OS: 本番向けと試験向けの2つの仮想OS
  • コントロールパネル (Webmin)
  • 監視サービス (ZABBIX agent)
  • サーバ再起動サービス

Webminコントロールパネル動作画面

sshログイン画面

障害が発生しスカイアーチ側での再起動が必要になった場合、仮想OSの再起動、またはハードウェアの再起動を選択できる。当然だが、ハードウェアの再起動を選択した場合には仮想OSは2つとも再起動することになる。ハードウェアに障害が発生した場合には筐体の交換での対応となる。「RouteCloud」の魅力は、さらに運用代行などの次のオプションも提供されているところにある。

  • ネットワーク機器(ファイアウォール、DNS)
  • 運用代行(ファイアウォール、サーバ)
  • フルマネージドサービス

コンテンツの提供に注力したい場合、サーバの構築や設定、運用はすべてスカイアーチのサービスを活用するということもできる。

クラウド型専用サーバーからフルマネージドへ

「RouteCloud」で提供される仮想OSはCentOS 5.4の64ビット版だ。識者はここで不思議に思ったかもしれない。この規模のハードウェアであれば32ビット版で十分機能するためだ。これは「RouteCloud」を利用したクライアントが、運用代行やフルマネージドサービスなどのサービスへ移行したいという場合に、その移行をスムーズにするためのものだ。フルマネージドはよりパワフルなハードウェアに64ビット版のCentOSを搭載して運用することが多い。

サーバの運用にかかるコストは決して安くない。情報システム部がある企業でもサーバ運用は負担になりがちだ。情報システム部が存在しない企業では誰かが兼任するケースが多いが、いつまでも対応できるものではない。休日出勤や深夜待機、24時間365日の連絡ということになれば、サーバが壊れる前に担当者が倒れてしまう。

「RouteCloud」で運用代行も頼んだ場合には、そのまま運用を延長したいと考えることもあるだろう。「RouteCloud」からフルマネージドサーバへの移行はスムーズだ。サーバの運用代行を実施すると、月あたりにかかる予算が明確になるため、事業計画を練りやすくなるという利点もある。

国内の専用サーバが生む安心感

費用対効果や迅速なサービス提供を求めてクラウドサービスを採用する企業もではじめている。しかしながら、米国をベースとするクラウドサービスを利用する場合、法的な実行範囲も含めて検討する必要があるという問題がある。たとえば米国にサーバが設置されているクラウドサービスを利用するのであれば、データが保存されているサーバそのものは日本の法律の適用範囲外となり、米国の法律が適用される可能性がある。国を超えたクラウドサービスはまだ登場して歴史が浅く、今度どういった問題が発生するかを見極めていく必要がある。

これに対して日本国内にサーバが設置されサービスが提供されている場合には、日本の法律が適用されることになる。情報保護の観点からもこちらの方が企業に対して与える安心感は大きい。また、システムを構築しているエンジニアも、運用代行を実施しているエンジニアも日本人だ。いざというときに意思疎通が図りやすいという特徴があり、国外のサービスを使うときとは便利さで違いがある。