シャープ 取締役兼執行役員 経理本部長 野村勝明氏

シャープは2月3日、2010年度第3四半期における累計連結業績(4月1日 - 12月31日)を発表した。売上高は前年同期比15.1%増の2兆3,294億円、営業利益は同94.4%増の665億円、経常利益は632.6%増の466億円、四半期純利益は前年同期85億円の赤字から218億円と、大幅な利益改善を達成している。

シャープ 取締役兼執行役員 経理本部長 野村勝明氏は「円高やデフレの進行など景気の下押し要因が残る不透明な経済状況が続くなか、"オンリーワンデバイス"による市場の創出とローカルニーズに適合させた"地産地消"ビジネスを展開した結果、収益力を大幅に強化することができた」と語る。

シャープの事業部門(セグメント)は、エレクトロニクス機器と電子部品の大きく2つに分けられる。エレクトロニクス機器にはAV・通信機器、健康・環境機器、情報機器の3部門が含まれ、第3四半期累計の売上高は前年同期比11.2%増の1兆5,431億円、営業利益は同115.6%増の656億円となっている。中でもAV・通信機器においては家電エコポイント制度の駆け込み需要効果が大きく、またブルーレイディスクレコーダーが伸長したこともあって、前年の約6倍となる営業利益368億円を実現している。

電子部品には、液晶、太陽電池、その他電子デバイスの3部門があり、売上高は前年同期比23.6%増の7,862億円、営業利益は44.8%増の201億円。液晶についてはテレビ用大型液晶パネルの需要増や、スマートフォン/タブレット/車載向けの中小型液晶の伸長がプラスに働いた。また、パネル価格が下落する傾向にあった中、製販在の管理を徹底し、グリーンフロント堺の生産および在庫の調整を行っている。太陽電池は国内外ともに順調に推移しており、販売量は前年同期比70.1%増の927MWとなっている。

2010年度の通期連結業績見通しは「おおむね計画通りに進んでいる」(野村氏)として、昨年10月に公表した数字(売上高3兆1,000億円/営業利益900億円/経常利益550億円/当期純利益300億円)からの変更はない。

今後の主要商品の展開について、野村氏は「液晶カラーテレビは、シャープのオンリーワンデバイスであるAQUOS クアトロンをエコポイント終了後も国内で推進していく。中国市場、北米市場にもより力を入れていくが、とくに北米では60型、70型といった大型サイズへのニーズが高いと見ており、新しい市場を創出していきたい。携帯電話については国内市場が縮退する中、メーカ間のスマートフォン競争も激化することが予想される。シャープではこれをチャンスと捉え、オンリーワンテクノロジで需要を拡大していく。液晶についてはパネル価格の下落傾向がいまも続いているため、製販在の管理を慎重に行うのはもちろんだが、世界唯一のG10生産能力をもつ堺工場の力を活かし、60型を中心に需要を拡大していきたい。一方でモバイルデバイスの普及が進んでいることから中小型液晶への需要はさらに拡大すると見ている。こういった成長分野へのシフトを強めていく」としている。

なお、先日報道された台湾AUOに対する特許侵害の提訴については「明らかにシャープのもつ特許を複数侵害しており、提訴に踏み切った。今後もこういった特許侵害については断固とした姿勢で臨みたい」と語った。