日立製作所は2月3日、2010年度第3四半期連結業績および通期見通しを発表した。2010年度4月-12月期の売上高は前年同期比108%の6兆7,658億円、営業利益は前年同期比812%の3,378億円、純利益は前年同期の1,113億円の損失から2,201億円の黒字となった。営業利益、純利益ともに決算を始めた2001年以来、過去最高を記録した。
第3四半期(10月-12月)は、売上高が前年同期比105%の2兆2,634億円、営業利益が前年同期比181%の1,198億円、純利益が前年同期比284%の620億円となった。
第3四半期のセグメント別では、売上高は情報・通信システム部門と電力システム部門以外の部門はすべて前年を上回り、営業利益は全セグメントで前年を上回った。なかでも建設機械部門、電子装置・システム部門、デジタルメディア・民生機器部門、高機能材料部門は好調だった。
日立製作所 取締役執行役員副社長の三好崇司氏は、「情報・通信システム部門と電力システム部門の売上高は前年割れしているが、営業利益は前年同期を上回っており、収益性が上がってきた。自動車関連の需要が堅調に推移したことから高機能材料やオートモーティブシステムが好調だった。コンポーネント・デバイスの増益にはハードディスクドライブが大きく寄与しているほか、民生機器ではエコポイント制度の影響で薄型テレビや冷蔵庫などが予想以上に伸びた」と説明した。
営業利益で見ると、建設機械は前年同期比496%、コンポーネント・デバイスは同213%、オートモーティブシステムは同179%、デジタルメディア・民生機器は同307%、高機能材料は同132%だった。
情報・通信システム部門については、「ストレージ新製品が海外向けを中心に好調だった。エンタープライズや仮想化を対象としたストレージ製品も当社のアプローチが受け入れられており、フォーチュン100に含まれる大企業の70%が当社の製品を導入している。今後は、SMB市場に力を入れていく。また、クラウドサービスも導入が進んでおり、米国の大手ネット企業やオーストラリアの大手企業で導入が決まっている」と、同氏は説明した。
第3四半期のハードウェア事業は、売上高が前年同期比102%の1,274億円だったが、営業利益は価格下落から前年同期比70%の86億円に落ち込んだ。「2.5インチは厳しいが、3.5インチとサーバ向けハードディスクは好調だった。特に、サーバ向けの製品力が上がってきている」と同氏。
通期の売上高は、オートモーティブシステム部門、デジタルメディア・民生機器部門、コンポーネント・デバイス部門、社会・産業システム部門などが2010年10月に公表した前回予想を上回ることが見込まれるが、一部案件が後ろ倒しになっている電力システム部門や高機能材料部門が下回るとして、前回予想通りとなる見込み。
通期の営業利益は固定費を含むコスト削減の影響により、デジタルメディア・民生機器部門、コンポーネント・デバイス部門、社会・産業システム部門などが改善するため、前回予想を上回る見通しとなっている。
同日、現在は取締役 代表執行役 執行役会長を務める川村隆氏が4月1日より代表権のない取締役会長に就任するなど、執行役員の人事が発表されたが、「スピーディな意思決定を実現するため、社長の中西に権限を集中させる。その他の取締役については、グローバルの経験を重視するとともに、若返りを果たした」と同氏はコメントした。