エプソンは、有線・無線LAN対応のA4インクジェット複合機の新製品として、「PX-603F」「PX-673F」を、およびA4モノクロインクジェットプリンタ「PX-K100」を発表した。いずれもオープンプライズで、店頭予想価格は、「PX-603F」が2万円台後半、「PX-673F」が3万円台後半、「PX-K100」が1万円台中盤となっている。
冒頭、エプソン販売 取締役 販売推進本部長 中野修義氏は、昨年の年末商戦での結果についてふれ、10月~12月のインクジェットプリンタは販売台数シェア(46%)でも、金額シェア(49%)でも1位を獲得したことを発表した(いずれもエプソン販売調べ)。同氏はその理由を、「複合機の買い替え需要があったほか、キーボード付きコンパクトプリンタが好調であったため」とした。
キーボート付きコンパクトプリンタについて中野氏は、「当初は中高年の方を想定していたが、20~30代の女性に簡単にプリントできる点が支持された」と、好調の理由を説明した。
「PX-K100」
PX-K100は、A4対応のモノクロ専用インクジェットプリンタで、4月より発売される。大容量インクカセット2本を搭載し、A4サイズで約2,000枚が印刷できるという。片方のインク残量が限界値を下回った場合でも、「インク1本だけモード」により、最長5日間は残りの1本のインクのみを使用した印刷も可能。250枚の給紙が可能で、100BASE-TX対応の有線LANとUSB 2.0のインタフェースを持つ。自動両面印刷に対応し、印刷スピートは16枚/分(A4)。外形寸法はW445×D558×H154mm、重量は約4.6kgだ。
モノクロインクジェットプリンタの発売は同社にとって16年ぶりとなるが、中野氏は発売した理由を、「レーザープリンタでは60%がモノクロだが、インクジェットでは100%がカラーだ」と述べ、ビジネス市場においてモノクロインクジェットプリンタの需要があるにも関わらず、市場に対応する製品がない点を挙げた。
また、エプソン販売 MD部 部長 北原洋一氏は、「インクジェットプリンタのお客様の4~5%は、黒オンリーで使っており、モノクロレーザーの市場は今後右肩上がりで伸びていく」と述べ、ビジネスにおけるモノクロのニーズが今後拡大していくとの見解を示した。
「PX-673F」「PX-603F」
PX-673FとPX-603Fは、プリント、コピー、スキャン、カラーファックス機能を備えた複合機で、9日より販売される。PX-603FはPX-602Fの後継機種だが、今回500枚の給紙が可能な2段カセットのPX-673Fを追加し、2ラインナップとした(603Fは250枚の1段給紙)。自動両面印刷機能と両面対応のADFをいずれも搭載する。
どちらも、全色顔料インクで、ブラックは大容量インクカセットとなっており、カラーインク残量が限界値を下回っても、最長5日間はブラックインクだけを使用した印刷できる「黒だけモード」を搭載している。
また今回、片面・両面の用紙経路を共通化し小型化した自動両面ユニットを搭載し、本体に内蔵することに成功したほか、用紙経路長を短縮することにより、PX-673Fの場合で、従来機比で約60%両面印刷スピートをアップしている。
インタフェースは、100BASE-TX対応の有線LAN、IEEE80211b/g/n対応無線LANおよびUSB 2.0。印刷スピートはPX-673Fが9.5枚/分(A4カラー)、PX-603Fが7.2枚/分(A4カラー)。外形寸法/重量は、PX-673FがW446×D566×H312mm/約9.8kg、PX-603FがW446×D557×H238mm/約7.6kg。
ビジネスインクジェットプリンタの市場戦略について中野氏は、「インクジェットプリンタは、コストが安く、設置面積が小さいことが支持されており、レーザープリンタは大量の印刷を高速に印刷できるというメリットがある。インクジェットの良い部分を伸ばしながら、レーザーの良さをカバーする方向でこれから頑張っていきたい」の述べ、低価格なレーザープリンタの市場をインクジェットプリンタでカバーしていきたいという意向を示した。