リコーは2月2日、2011年3月期第3四半期(2010年10~12月)の決算概要を発表した。第1四半期から第3四半期までの9カ月間の累計業績は、売上高が国内で前年同期比3.7%増の6494億円となったものの、海外が同6.9%減の7896億円となった結果、合計で前年同期比2.4%減の1兆4390億円と減収となった。しかし、営業利益は同43.1%増の539億円、純利益も同41.1%増の203億円と利益面では増益を達成した。

リコーの2011年3月期第3四半期までの累計業績

リコー取締役専務執行役員の三浦善司氏

同社取締役専務執行役員の三浦善司氏は、我々の基盤である「画像&ソリューション分野」が為替の影響を受けて前年同期比3.7%減となったものの、為替の影響を加味しなければ同3.1%の増加となるほか、ネットワークシステムソリューションは為替の影響を受けても同9.7%と高い伸びを示していることを指摘。また、地域別としては、日本、米国が為替影響を受けない状況で、ほぼ横ばいとなっているほか、「その他地域は為替影響を加味しても同7.0%成長と伸びているが、世界的な成長に比べてはまだまだ」とし、さらなる成長を目指していくとした。 セグメント別の売り上げは、画像&ソリューション分野が前年同期比3.2%減の1兆2644億円。内訳としては、画像ソリューションが同5.4%減の1兆528億円、ネットワークシステムソリューションが同9.7%増の2115億円となっている。主要製品の伸びは、MFPがハードで前年同期比5%、ノンハードで同±0%、プリンタがハードが同6%、ノンハードが同4%の伸びをそれぞれ示しており、MFPとプリンタの合計ではハードが同5%、ノンハードが同1%の伸びとなっている。また、第3四半期累計の営業利益は1081億円となり、営業利益率は前年同期より1.4ポイント増の8.5%となった。

第3四半期までの累計業績の分野別売上高

第3四半期累計の画像&ソリューション分野の業績

産業分野は、同6.5%増の862億円となった。外部顧客向けが同7.6%増の821億円、セグメント間で同31.5%増の41億円となり、第3四半期累計の営業利益は7億円、営業利益率は前年同期のマイナス1.3%からプラス0.9%へと改善された。同事業は第3四半期単体で3四半期ぶりに損失を計上しているほか、主要製品の1つである半導体について三浦氏は、「半導体事業については、上期の赤字を下期の黒字で埋め合わせて通期でトントンまでもって行きたかったが、第3四半期は売り上げも前四半期に比べて増加したものの利益はようやくプラスマイナスゼロといった状況。第4四半期も同程度と見ており、通期でプラスマイナスゼロまで持っていけるかが微妙な状況となってきた」とした。

第3四半期累計の産業分野の業績

その他分野は、同0.2%増の925億円となった。累計の営業損益も前年同期の19億円の損失から15億円の損失へ、営業利益率も同マイナス2.2%からマイナス1.7%へと改善されたものの損失となっている。第3四半期単体の営業損益も10億円の損失となっており、これについて三浦氏は「広告宣伝費を含めた上での数値」としており、それを除けば前四半期もしくは前々四半期程度の損失となっているとしているが、「来年度からは抜本的な改革を進めていく」とした。

第3四半期累計のその他分野の業績

地域別の業績は、日本は売り上げが前年同期比4.7%増の9722億円、営業利益は286億円で営業利益率は同0.7ポイント増の3.0%となった。ただし、「第1四半期の営業利益が169億円、第2四半期が81億円、第3四半期にいたっては36億円と下がっている。第4四半期では再び利益を上昇させることを目指した取り組みを進めていく」とする。

また、米州の売り上げは為替の影響により同6.3%減の3916億円。営業損失は前年同期より81億円改善したものの36億円の損失となった。この赤字について三浦氏は、「まだ赤字が続く状況となっているが、これはIKON Office Solutionsを買収したコストが影響しているため。買収コストを除けば黒字を達成できる状態となっている」とし、今後は黒字化の達成と、黒字幅の拡大を図っていくとする。

第3四半期累計の日本と米州の業績

さらに欧州の売り上げはユーロ安の影響により同10.9%減の3064億円となったものの、営業利益は前年同期比で2億円減の196億円、営業利益率は同0.6ポイント増の6.4%と改善が進んでおり、「構造改革などが進んだ成果が出てきているものの、ユーロ安の影響が大きい。大きいといっても、それで解決できるわけではないので、そうした中でもしっかりとしたビジネスを行っていければ」とした。

そしてその他の地域の売り上げは、同14.3%増の2074億円と増収となったものの、営業利益は前年同期比2億円増の102億円にとどまり、営業利益率は同0.6ポイント減の4.9%にとどまった。

第3四半期累計の欧州とその他地域の業績

なお、同社は通期見通しについて、中間決算時の見通しから変更しない方針としており、「市場がだんだん動いてきている感じは受けており、第4四半期はそれほどひどい状況にならないのでは」との見方を示した。

通期業績の見通し