自動車に関する国際総合展示会である「オートモーティブ ワールド」が1月19日(水)~21日(金)の3日間、「ネプコン ジャパン」および「次世代照明技術展」との同時開催で、東京ビッグサイトにおいて開催された。

「オートモーティブ ワールド」は、「第3回国際カーエレクトロニクス技術展(カーエレJAPAN)」、「第2回EV・HEV駆動システム技術展(EV JAPAN)」に加え、今回新たに「第1回クルマの軽量化 技術展」が加わった。オートモーティブ ワールドの来場者は3日間合計で、前年比41.4%増の2万3483人となった。

本レポートではカーエレクトロニクス技術展から、インフォテイメントや車載制御を中心に半導体メーカーの取り組みを紹介したい。

「オートモーティブ ワールド」の会場となった東京ビッグサイト

インフォテイメントの開発を加速

自動車のナビゲーションシステムは、地図を表示する装置からインフォテイメントを提供するマルチメディアアプリケーション機器へと変化しつつある。ストレスのないユーザーインタフェース(UI)を車載品質でいかに実現するかが鍵となる。

インフォテイメントについては、Freescale Semiconductorが独BMWの高級クロスオーバーSUV「BMW X5」を持ち込むなどして、高度な車載マルチメディア向けとしてi.MXアプリケーションプロセッサについてQNX、Microsoft、Linux、Androidの4つのプラットフォームでデモを行った。なお、デモには「i.MX51」および「i,MX53」を搭載した。

QNXプラットフォームの「QNX Car」はリファレンス実装とカスタマイズ性の高いHMI(Human Machine Interface)により、さまざまなインフォテイメントシステムの迅速な開発を支援する。インターネットコネクティビティと閲覧機能、車両モニタリング、Googleマップおよびローカル検索対応ナビゲーションなどの開発を行う。

QNX Carを用いてGoogleマップを表示された状態

スマートフォンやタブレット端末との同期

また、インフォテイメント実現に向けたクイックソリューションとして、スマートフォンやタブレット端末とナビゲーションシステムと同期させる取り組みが見られた。

具体的には、スマートフォン接続インタフェースの中でも注目を集めているCE4A Terminal Modeを採用し、ナビゲーションなどスマートフォンが持つ機能をカーオーディオで利用可能とする。また、周辺環境のクラウドネットワークへの対応も進める。

Freescaleは、LinuxベースのMeeGoのデモとして、Terminal Modeによる情報端末とスマートフォンの同期を示した。ルネサス エレクトロニクスは、Terminal Modeによるカーオーディオとスマートフォンの接続ソリューションを出展した。

FreescaleのMeeGoデモ

ルネサスの接続ソリューション

ナビゲーションシステムのUIについては、音声認識システムの開発が進んでいるが、現行の操作方法をより容易にするものとして、動作認識システムの提案も見られた。

ルネサスは、スマートユーザーインタフェースソリューションを参考出展した。日本システムウェアと共同開発したジェスチャ認識ライブラリにより指の本数や動きを検出し、手の動きにより機器の操作を行うもの。

ルネサスのスマートユーザーインタフェースソリューション

車載制御は情報処理が高度化

車載制御については、独Infineon Technologiesが、TPMS/RKEソリューションのデモを展示していた。TPMS(Tire Pressure Monitoring System)センサは各タイヤのホイールに設置され、測定したタイヤの空気圧をリアルタイムで無線送信する。無線信号は車載セントラル受信ECUで受信されるが、同一のセントラル受信ECUでRKE信号の受信も行う。

TPMSセンサは、圧力、加速度、温度、バッテリ監視センサを内蔵し、優れたシステム制御回路により動作電力を低減している。また、可変出力RF送信回路とLF受信回路を内蔵している。展示デモでは、タイヤの空気圧を圧力センサで監視し空気圧低下時にアラームを表示していた。また、加速度センサによりタイヤの回転および車の動作を検出する。

InfineonのTPMS/RKEソリューションデモ

伊仏STMicroelectronicsは、32ビットマイコン「SPC56」とスマートパワーデバイス「VIPower」を使用したライティング制御デモを展示していた。VIPower MO-6は、新生代SPI入力方式ハイサイドドライバで、小型かつ安価なボディ制御モジュールを実現する。ランプ・バルブ負荷およびLED負荷のどちらにも駆動可能で、幅広い車種に対応する。

STMicroのライティング制御デモ

アクティブセーフティ技術は、SiGeチップを導入

アクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)などのアクティブセーフティ技術において、ミリ波レーダーを現行のGaAsチップによるからSiGeチップに置き換える動きがある。

Freescaleは、SiGeチップを用いた77GHx ミリ波レーダーシステムの動作の様子を展示していた。同社の77GHzレーダー用SiGeチップは180nm BiCMOSプロセスにより高集積化を図り、GaAsチップベースのシステムに比べ低コスト化を実現できるという。

InfineonもSiGe 77GHzレーダーセンサを展示していた。送信・受信2チップ構成によるバイスタティックシステムとなっている他、同一チップセットで中・長距離アプリケーションに対応できるという。

InfineonのSiGe 77GHzレーダーセンサ