エルピーダメモリは1月31日、同社の生産委託先であるPowerchip Technology(力晶半導体)とPowerchipがこれまで自社ブランドで生産・販売していたDRAMのすべてをエルピーダが購入し、エルピーダブランドとして販売することで基本合意に達したことを発表した。

現在のPowerchipのPC向けDRAM生産量は300mmウェハで月産8万枚。その内の半数をエルピーダが購入する生産委託契約を締結しており、残り半分をPowerchipはエルピーダからのライセンスを受ける形で自社ブランド製品として販売している。

また、Powerchipはエルピーダとの合弁会社であるRexchip Electronicsが生産している月産約8万5000枚(300mmウェハ)のDRAMのうち、約3万枚を購入し自社ブランドで販売する権利を有しており、正式合意後には、Powerchipはこれらの能力に基づき従来どおり生産を継続する予定だが、自社ブランドでの販売は今後行わず、エルピーダがRexchipにおける生産品の同社購入分を含むすべてのDRAM製品の提供を受け、エルピーダブランド製品として販売していくこととなる。

今回の合意により、エルピーダは新たな設備投資をせずにPC向けDRAMの生産能力を拡大することが可能となる。プロセスの微細化はPowerchipが行うこととなるが、同社のファブはエルピーダのプロセスに合わせた装置を導入しているため、比較的少ない設備投資額で先端のプロセスへの転換が可能だ。

なお、エルピーダは現在、スマートフォンやタブレットPCに搭載される低消費電力型のMobile DRAMの需要急増に対応するため、300mmウェは対応の広島工場で同DRAMの増産を進めており、PC向けDRAMは台湾のパートナー各社およびRexchipなどへの生産委託を進めている。今回の提携によるDRAM生産数の向上は、PC向けDRAM市場におけるエルピーダのプレゼンスを維持、向上させるためのもので、今後、Powerchipは、こうしたファウンドリモデルへの事業転換を図り、DRAM以外の半導体デバイスも取り扱っていく計画としている。

なお、両社は、今後のPowerchipの既存顧客のサポートについても、検討していく方針としてる。