ルネサス エレクトロニクスは1月28日、2011年3月期第3四半期(2010年10~12月)の決算概要を発表した。売上高は2752億円となり、合併前の旧2社の合計と比較した場合の前年同期比では1.9%減となった。また、半導体売上高は2444億円で同じく合併前の2社の合計と比較した場合の前年同期比は1.3%減となった。このほか、営業損益は合併前の合計が127億円の損失だったものが、34億円の黒字に、経常損益も同じく157億円の損失だったものが11億円の黒字へと転換を果たしたものの、純損益は特別損失として170億円を計上したことにより同210億円の損失から34億円改善の176億円の損失にとどまった。
ルネサス エレクトロニクス取締役執行役常務の小倉和明氏 |
同四半期の動きについて、同社取締役執行役常務の小倉和明氏は、「第2四半期と比べて、売上高は下回ったものの、営業損益は、原価率の改善および統合シナジーや製品ポートフォリオの見直しによる研究開発費の効率化により増益となった」と説明し、2011年3月期通期の見通しについては「売上高の下方修正を行ったものの、期初に掲げた70億円の営業黒字の目標を維持する」とした。
半導体売り上げを製品群別に見ると、「マイコン」事業はに産業機器向けの売り上げが増加したものの、自動車向け、汎用向けが落ち込んだことが要因となり、前四半期比2%減の939億円となった。
また、「アナログ&パワー半導体(A&P)」事業は、自動車向けやパソコン電源向けパワーMOSFETの売り上げが増加したものの、パソコンおよびLCD-TV向け表示ドライバICをはじめとして、パワー半導体、アナログIC、表示ドライバ、化合物デバイスのすべての分野で減収となった。その結果、前四半期比で13%減の730億円となった。
そして「SoC」事業は、携帯電話端末向けカメラLSIなどの売り上げが増加したものの、主にパソコン周辺機器向け半導体やネットワーク機器向け半導体の売り上げが減少したことにより、売上高は同9%減となる761億円となった。
同社では国内市場の需要回復が想定より弱いことなどを要因とし、2011年3月期の下期および通期業績の見直しを行っており、売上高を前回予想より200億円引き下げ、下期見通しで5625億円、通期見通しを1兆1500億円へ、半導体売上高を下期見通しで5050億円、通期見通しで1兆300億円へと下方修正している。ただし、営業損益、経常損益、当期損益については前回の発表からの変更は行わないとしている。
下期半導体の見通しとしては、マイコン事業は自動車向けマイコンが、中国、新興国市場の自動車販売が引き続き好調であり、国内市場においても需要の回復が見込まれることから、第3四半期から第4四半期にかけて増収の見通しとするほか、汎用マイコンは、シェアの高いインバータ機器を中心に民生機器向けが堅調に推移すると見込んでいることから、第4四半期は前四半期比10%増の成長を見込んでいる。
また、A&P事業はパワー半導体が、民生機器、自動車分野、パソコン周辺で汎用系部品在庫の調整が終了したことから、第4四半期にかけて増収の見通しとするほか、アナログICも、自動車分野、特に欧州市場が引き続き堅調であることや、パソコン周辺分野で部品在庫の調整が終了したことなどによる需要の回復、表示ドライバICも、市場の在庫調整が終了したことによる需要回復との見通しを示しており、第4四半期は前四半期比7%増の成長を見込む。
そしてSoC事業は、モバイル分野が国内通信LSIの需要は減少するものの、スマートフォン向けカメラLSIが引き続き堅調に推移する見込みとするほか、産業機器分野が、在庫調整の影響などにより需要は鈍化の見通し、民生機器分野が、カスタム系部品の在庫調整が続き、全般的に需要は停滞となるものの、STB向けの需要が回復する見込みで、PC周辺分野でも、在庫調整が終了したことやUSB3.0向けの需要が好調であることから、全体としては前四半期比3%の成長の見通しとしている。
結果、3事業ともに成長が見込めることもあり、半導体事業全体でも前四半期比7%の成長を見込むとしている。