NECは1月27日、電気自動車(EV)用急速充電サービスの利便性向上と運用性向上を目的として、NTTファシリティーズ、日産自動車、NTTドコモ、JX日鉱日石エネルギー、日本ユニシスなどの協力により、EV用急速充電器の利用者認証や遠隔運用などのクラウドサービスに関わる通信規格の評価実験を1月29日から順次開始することを発表した。
同実験は、総務省から受託した「スマート・ネットワークプロジェクト(SNP)」の屋外実験チームである「EVサポートネットワーク」の「充電スタンドのネットワーク化」の活動として行うもの。EV用急速充電器は、EVの普及を支えるインフラとして国内外で設置が進められているが、現在は、利用者の認証や運用管理に関するクラウドサービスの通信規格が統一されていないため、異なる事業者が設置したEV用急速充電器の相互利用ができないなどの問題がある。
NECではSNPでの活動を通して、EV用急速充電器を管理するクラウドサービスの通信規格の標準化を目指しており、今回の実験では、横浜みなとみらい21地区の実験フィールド(通称:54街区)とNTTドコモ神奈川支店、JX日鉱日石エネルギーの初山サービスステーション、およびNECの玉川事業場に設置した急速充電器をネットワークで運用管理サーバと接続し、クラウド環境で運用を行う計画としている。
同環境において、遠隔運用保守機能によるセルフサービス型充電システムの評価やEVでの充電スタンド情報の地図表示、クラウドサービス間の会員認証の連携実験などが行われる予定で、充電システムの評価では、複数メーカー(NECグループの高砂製作所、NTTファシリティーズ、日産自動車など)の急速充電器をネットワークで運用管理サーバに接続してコールセンターなどからの遠隔運用保守を行い、SNPで検討中の通信規格の実用性や汎用性に関する評価実験を実施。みなとみらい21地区の実験フィールドやJX日鉱日石エネルギーのサービスステーションに設置する一般利用者向け充電器の運用管理に加え、NTTドコモ神奈川支店に設置されている法人利用者と一般利用者が共用する充電器の運用管理に関する評価を行なうとしている。
また、クラウドサービス間の認証相互接続では、NECが提供する充電クラウドサービスと、日本ユニシスが提供する充電クラウドサービスにおいて、それぞれが管理する会員認証の相互接続を実施することで、お互いのクラウドに繋がるEV用急速充電器の相互利用を実現するため、クラウド間の認証連携に関する通信規格の検証を行う。
さらに、充電器情報の管理・表示内容の評価では、クラウドで管理するEV用急速充電器の使用状況(満空情報)、充電終了時刻などのEV利用者への情報提供に関して、EVのカーナビ、携帯電話、PCなど様々なメディアへの情報提供を想定した通信規格の検証を実施する予定としている。