日本サムスンは1月25日、Radvisionと共同開発したビデオ会議システムに関する戦略説明会を開催した。同社は、現在1%程度の同製品の国内市場シェアを2013年までに15%まで伸ばすことを目標とする。

日本サムスンは昨年1月、ビデオ会議システム「VC240」の出荷を開始した。同社としては初めて開発・製造・販売を行うビデオ会議システムで、23.6型ワイド液晶、HD対応カメラ、高音質ステレオスピーカー、デュアルエコーキャンセリングマイクをすべて一体内蔵した「HD画質のデスクトップ会議専用端末」。PC用のモニターとしても利用することができる。

日本サムスン DMAチーム チーム長 部長 宮田隆氏

日本サムスン DMAチーム チーム長 部長の宮田隆氏は、「VC240は昨年1月より販売を開始しているが、ここにきて製品の完成度が上がっており、当社にとってビデオ会議システムは新たな分野ではあるが世界のマーケットを狙っていく」と述べた。

同社のフラットパネルディスプレイを核として、今後はデジタルサイネージ関連製品に加えて、液晶一体型クライアントと液晶一体型HDビデオ会議システムを本格的に立ち上げていく。

ビデオ会議システムの製品カテゴリーは、同製品が属する専用端末型、Web会議型、音声会議の3種類に分類できる。これらのうち、成長が目覚ましいのは提供形態がSaaSということで手軽に利用できるWeb会議型だ。

そうしたなか、サムスンが専用端末型のビデオ会議システムを選択したのはなぜか? その理由について、宮田氏は「確かに、最近はWeb会議型の導入が進んでいるが、Web会議の画質や音質に満足しないユーザーも増えるはず。そうしたユーザーを取り込んでいきたい。また、ビデオ会議システム自体の市場が広がるにつれて、品質にこだわるユーザーも増えていくので、そうしたユーザーもとらえていきたい」と説明した。

同製品の顧客層としては、「グローバル企業の役員・経営幹部・プロフェッショナル・在宅勤務者」、「病院」、「老人ホーム」、「大学研究者」、「官公庁」、「金融機関の融資・運用相談」がターゲットとされている。

また、同製品をRadvisionと共同開発した点については、「当社はこれまで"自前"にこだわる傾向が強かったが、新しい事業・製品の市場開拓にあたっては、外部のパートナーと積極的にアライアンスを組んでいく。シンクライアントについても、ヴイエムウェアなどとアライアンスを結んでいる」と同氏。

同製品の特徴として、「資料共有機能」と「H.264SVC(パケットロス補正機能)」を標準で装備している点がある。これら2つの機能を標準で備えている同スペックの他社製品はほぼなく、価格面で見ても、同製品の価格は業界の一般的な価格の半分程度だという。

ビデオシステム会議製品市場におけるVC240の位置付け

同製品はiPhone/iPod touch/iPadからの資料共有と音声会議に対応しており、クライアントソフトはiTunesでダウンロードできる。今後は機能拡張とAndroid端末への対応が予定されている。

今回の説明会開催に伴い、同製品の機能拡張も行われた。1つは資料共有機能における古い端末のサポートの追加だ。同製品の資料共有はH.239で行われているが、これまではH.239のH.264しか対応していなかったが、古い端末の資料共有を実現するH.263のサポートが追加された。もう1つの機能拡張はNATの対応だ。これにより、ファイアウォールの外にある同製品の通信が可能になる。

説明会では、デモも行われた。VC240を2台用いたデモでは2拠点が接続され、画像と音声を交えたやり取りが披露された。さらに、同製品2台に加え、最大9拠点接続可能な「SCOPIA XT1009」を用いて、3拠点間の通信と資料共有が行われた。

VC240を2台用いた2拠点間通信のデモの様子

2台のVC240とSCOPIA XT1009による3拠点を結んだデモの様子