中国のセキュリティベンダー NSFOCUS Information Technologyは1月20日、都内で記者説明会を開催し、1月15日付で日本法人 NSFOCUSジャパンを設立したことを発表した。

NSFOCUS Information Technology 副社長 呉云坤<ウー・ユンクン>氏

NSFOCUS Information Technologyは2000年4月に設立された、中国におけるセキュリティアプライアンス製品(IPS、WAF、Anti-Dosなど)の大手。2008年から同社の製品は日本法人の前身となるインテカーを通じて提供が行われていたが、今後はインフィニテック、京セラコミュニケーションシステム、ソフィア総合研究所、日本ユニシス、ネットワールドの5社をパートナー企業としてアプライアンス製品やセキュリティ関連サービスを提供する(直販も行われる)。

同社は中国国内に北京(本社)のほか上海や広州、成都、西安、武漢など31拠点を有し、政府機関や通信、金融、エネルギー分野などを中心とした多数の顧客に製品やサービスを提供している。中国国内では北京オリンピックや上海万博において、セキュリティ製品の提供や運用保守面での実績を残したことが知られているという。

日本法人設立は「セキュリティに地域性はない」(NSFOCUS Information Technology 副社長 呉云坤<ウー・ユンクン>氏)という考えのもとに2006年からスタートさせたグローバル戦略の一環とされ、今月末までには北米の現地法人も登記が完了する予定だという(年内にはシンガポールにも拠点が設置される予定)。

NSFOCUSジャパンの社長に就任した栗原章通氏は記者説明会において、同社について「研究開発が強み」であると強調。全世界におけるセキュリティ脅威のおよそ8割が中国が発生源("踏み台"にされているケースも含む)となっている実情に触れ、その中国で30ヵ所にも及ぶ"おとりシステム"を有する脅威の分析・研究拠点を設置していることや、売上の20%を研究開発に継続投資している点などをアピールした。

NSFOCUSジャパン 代表取締役社長 栗原章通氏

栗原氏は日本法人の設立主旨には、「日本人の"きめ細やかさ"や"こだわり"といった要素が込められている」と説明。ネットワークセキュリティに関して高い技術を有する中国と、クラウドコンピューティングや仮想化技術などにおいて先進的なビジネスモデルを有する日本との融合により、NSFOCUS Information Technologyのグローバル戦略の一端を担いたいという考えを示した。

提供される製品の価格はIPS(侵入防御システム)製品が130万円~、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)製品が250万円~、Anti-Dos製品が数千万円~。

WAF製品の1つ「P300」

安価なUTM製品が製品ラインナップに加わる予定はなく、今後は300名以上の規模を持つ中堅企業や大手企業、通信事業者、データセンター事業者などを主なターゲットとして日本でのビジネスを展開する。

なお、日本法人の初年度売上目標は1億円。人員は8名(契約社員を含む)体制でのスタートとなる。

NSFOCUSジャパンのターゲットマーケット