ヤフーは1月20日、Yahoo! JAPANが提供する新たなジオサービス「Yahoo!ロコ」を発表した。4月上旬よりサービスを開始する。

ヤフー 取締役 最高執行責任者 喜多埜裕明氏

Yahoo!ロコは、現在Yahoo! JAPANが提供している「Yahoo!クーポン」「Yahoo!グルメ」「Yahoo!地図」などの地点情報を保有するサービスを1つに集約するもの。今いる場所、あるいは出かけたいエリアにある行きたい店や施設などを検索すると、その地域周辺のその他の店やスポット、サービスなどのあらゆる情報が地図と一緒に表示されるしくみだ。ヤフー 取締役 最高執行責任者の喜多埜裕明氏は「今までは点で存在していた各サービスが、Yahoo!ロコにより1つにつながることになる。一般の利用者と事業主をダイレクトに結ぶサービスと位置づけている」(喜多埜氏)と語る。

Yahoo!ロコではユーザごとのトップページが用意される。ユーザは、たとえばグルメ情報を検索したあと、またトップに戻って交通情報を探す…といった作業をする必要はなく、横串でその地域の情報を欲しいときに探すことが可能になる。つまりひとつのキーワード(「六本木」「イタリアンレストラン」「花見」など)から目的の情報を横断的に検索できるようになる。路線や地図も表示されるので、携帯電話などを使えば目的地までスムースに移動可能だ。また、もうひとつのメイン機能がYahoo!地図でも使われている「キープ機能」で、気に入った店や情報を"キープ"すると、いつでもその情報にアクセスできるほか、店からのお得情報などのメッセージをリアルタイムに受信でき、さらにその情報をTwitterやmixiなどのソーシャルメディアで友人と共有することも可能だ。

Yahoo!ロコのイメージ。店側はより多くのユーザに情報を提供できるようになり、ユーザは欲しい情報へのアクセスがリアルタイムで可能になる

Yahoo!地図でも提供されている「キープ機能」を使えば、お気に入りの店のお得情報やイベント情報などを、いつでも最新の状態で閲覧することができる

ショップオーナーなどの事業主は、Yahoo!ロコを利用することで「Yahoo! JAPANの集客力を利用して、より多くのユーザに店やサービスの情報をタイムリーかつダイレクトに提供できるようになる。また、クーポン発行などによるWeb販促の効果も大きい」と喜多埜氏は語る。事業主向けには「Yahoo!ロコ プレイスページ TOP」と「Yahoo!ロコ プレイス管理ツール」が提供され、これらを使うことで、店のホームページなどを簡単に作成できるほか、新着情報の表示、電子化されたクーポン/スタンプカードの発行、投稿されたクチコミの表示および返信などが可能になる。また、料金プランも有料プランのほか「まずは誰にでも使っていただきたいので、全業種を対象に無料で始められる"エントリープラン"も用意した」とするように、誰でも開始できる手軽さをアピールする。

事業主向けに用意される「Yahoo!ロコ プレイスページ TOP」を使うと、店舗情報やサービス内容の入力だけで簡単にホームページが作成できる。200種類以上のテンプレートから選べるだけでなく、PC/携帯/スマホ用のページを一度に作成できる

管理ツールの「Yahoo!ロコ プレイス管理ツール」ではホームページ作成のほか、クーポン発行やクチコミ返信、おすすめ情報発信などさまざまな機能を利用できる

Yahoo!ロコを使った集客のイメージ。ユーザがトップページから店舗名をクリックすると、事業主が作成したホームページ(Yahoo!ロコ プレイスページ)に遷移する

事業主向けのサービスメニューと料金体系。お試しで始めたい人のために無料のエントリープランが用意されているのも特徴のひとつ

Yahoo!ロコに統合されるサービスは

  • Yahoo!クーポン
  • Yahoo!道路交通情報
  • Yahoo!地図
  • Yahoo!地域情報
  • Yahoo!グルメ
  • Yahoo!電話帳
  • Yahoo!マチモバ

の7つで、これにより「1カ月に約2,600万人のユニークユーザが利用する日本最大級のジオサービス」(Yahoo! JAPAN)が誕生することになる。ヤフーでは「さらにプロモーションを重ね、この数字を伸ばしていきたい」(喜多埜氏)としている。

Yahoo! JAPANが提供していた複数の地域情報サービスをひとつにまとめ、Yahoo!ロコとして提供する。「あるサービスで情報を"深く"探したあとに、また上に戻って別のサービスから情報を検索するようなムダをなくしたかった」(喜多埜氏)

スマートフォンユーザの取り込みが成功のカギ

ヤフー BS事業統括本部 統括本部長 殿村英嗣氏

Yahoo! JAPANは現在の事業戦略として、

  • ソーシャルメディア化
  • Everywhere化
  • 地域・生活圏情報の充実
  • オープン化

の4つを掲げており、今回発表されたYahoo!ロコもこのすべての要素を兼ね備えたサービスとして展開される。

とくにヤフーが重要視しているのが"Everywhere化"、つまりスマートフォンを中心とするモバイルへの対応だ。ヤフー BS事業統括本部 統括本部長の殿村英嗣氏は「数年後はほぼすべての人がスマートフォンを使ってYahoo!ロコを使っているイメージでサービスを作り込んだ。これからもスマートフォン優先のサービスをGPSを中心にいろいろと展開していきたい」としており、スマートフォンユーザの間でどれだけ浸透させることができるかが、このサービス成功のカギになる。

Yahoo!ロコは1月20日より代理店経由の営業を開始し、3月上旬からオンラインでの事前登録を開始、一般ユーザに向けたサービスインは4月上旬を予定している。