日本アイ・ビー・エムは1月20日、記者説明会を開催し、2011年のWebSphere事業の戦略を説明するとともに、ビジネス・プロセス管理の新製品「IBM WebSphere Lombardi Edition V7.2」を発表した。

日本アイ・ビー・エム 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長 伊藤久美氏

理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の伊藤久美氏は、20011年のWebSphere事業の戦略について、「クラウドとBPMによってビジネスの俊敏性を支援すること」と述べた。「現在、日本の企業はいやおうもなくグローバルの波に飲み込まれており、グローバル化への対応が課題となっている。この課題を解決するには、ビジネスの俊敏性を実現する必要がある。その手段となるのがクラウドとBPM」と同氏。

クラウド分野においては、基幹システムとクラウドサービスの連携を推進するとともに、事業戦略/業務プロセスの文書化と共有をSaaSとして提供することで、製品群の強化を図る。

BPM分野においては、効果が見える業務プロセスの変革を実現するため、短期間で実装可能なBPMプラットフォームとサービスを提供し、1月1日付けでWebSphere事業部内に、営業・技術・マーケティングから成る10名による専任部隊が設置された。

クラウド分野の製品として、「WebSphere Cast Iron」が紹介された。同製品は、SaaS/PaaSのプラットフォームとオンプレミスのアプリケーションを連携するもので、50以上のプラットフォームとアプリケーションの連携が可能だ。連携のパターンをテンプレートとして提供することで、開発期間の短縮を実現する。

また、「Blueworks Live」はクラウドとBPMの両分野にかかわる製品である。同製品は業務ユーザー/企画部門向けの業務プロセス記述サービスで、SaaSとして提供される。テンプレートが99種類用意されているので、容易にプロセスを作成することができる。

同氏は、「日本ではBPMの価値を理解している企業が増えているにもかかわらず、導入が増えないのは、企業がBPMについて"投資対効果が見えない"、"知識やリソースが不足している"と見ているから。これらの課題を解決する製品が『WebSphere Lombardi Edition 』」と説明した。

同製品は昨年1月にIBMが買収したLombardiが開発したアプリケーションで、モデリング・開発・ユーザーインタフェース、システム連携といった機能をオールインワンで提供する。インタフェースが統一されているので、ビジネスユーザーと開発者が同一のインタフェースによってアプリケーションを短期間で構築できる。そのほか、業務プロセスのシミュレーションやアドバイス機能、KPIを基にダッシュボードを自動生成する機能を提供する。

IBM WebSphere Lombardi Edition V7.2の画面

さらなる同製品の特徴は、BPMアプリケーション構築のノウハウを体系化し提供している点だ。同製品では反復型開発が利用され、13週間でBPMアプリケーションを分析・設計・構築し、効果測定まで行うことを可能にする。

同氏は同製品の導入について、「システム全体に採用するよりも、"手作業が発生しているプロセス"や"お金が流れるプロセス"に採用すると効果が見えやすい。効果を出してから、適用範囲を広げていくとよい」と述べた。

バージョン7.2の新機能は、「クリティカル・パス管理」「多国語対応」「マイクロソフト製品との連携」となっている。

従来製品では現在の業務の流れの図式化などしか行えなかったが、クリティカル・パスの分析と管理機能が追加され、日本語、中国語、韓国語など13ヵ国語がサポートされた。また、連携がサポートされたマイクロソフトのMicrosoft OfficeやMicrosoft SharePointから、同製品で構成したアクティビティを直接実行できるようになった。

IBM WebSphere Lombardi Edition V7.2の価格体系