カシオ計算機は19日、同社が販売する「ネットレジ」の紹介と、店舗経営者および開業予定者向けに開業資金や運転資金など経営に関わる資金繰りから、「生き残るお店」を作るための極意などを伝授する無料セミナー「第6回 成功ノウハウセミナー」を同社本社にて開催した。
ネットレジでは、インターネットに接続し、CXDネクストと加盟店契約することで、30分ごとに売り上げが集計され、日報や帳票が自動作成されるサービスが受けられる。また、携帯に売り上げデータを転送して閲覧することも可能だ。そして今月17日には、「PASMO」や「Suica」による決済端末を標準装備した「TK-6500/TE-6500」を3月上旬に発売することもアナウンスされている。
カシオ計算機 営業本部 戦略統轄部 システム戦略部 SA企画室長の下田純也氏は、ネットレジのメリットを、「ネットレジにより経営の見える化を図ると、何時に何が何個売れるのかがわかり、チャンスロスもなく、適正な在庫を仕入れることができる。また、このようなデータが積み重なると、お客様の好みが見えてくる」と説明した。
ビジネスプラン評価のポイント
セミナーの中では、日本政策金融公庫 石原文彦氏による「金融機関から見た成功する経営者/失敗する経営者の共通点」と題した講演が行われた。
石原氏は冒頭、「国内においては、2005年をピークに人口が減少し、今後、お客様のパイが減っていく」と説明し、そのため開業にあたってはコンセプトが重要で、しっかりしたビジネスプランを作成することが大切だと指摘した。また、ビジネスプランは、出資者や取引先にビジネスを理解してもらうだけでなく、自分が考える事業構想を体系的に整理する手助けにもなるとした。
事業の選択について石原氏は、自分がやりたいこと(熱意、信念、志)、自分ができること(スキル)、社会が求めていること(ニーズ)の3つを考慮し、この3つが重なり合っているものを選択するとよいとアドバイス。また、メニュー、サービス、立地、価格、営業時間など、差別化できる特性も重要で、ターゲットとする顧客については、これまでは年齢、性別、年収等で決めていたが、今後は「どういう時に利用するのか、何のために利用するのか」といった利用動機が重要だとした。
売り上げをアップさせる施策については、キャンペーンやお買い得商品を設けるなど、お客を呼び込むための入口が必要だと説明。ただし、その際は利益率が高く儲けるための商品をきちんと準備しておくとも大切だとした。また、注意点として、入口の敷居を下げてしまうと、やりたいことができなくなってしまうので、入口を自分のやりたいことに引き上げていくことが必要だとした。
運転資金については、大規模に始めるとリスクが大きいので、「小さく生んで大きく育てる」発想が成功確率をアップさせるとアドバイス。また、日々の売り上げを運転資金にまわすのは危険で、2カ月程度の運転資金が必要とした。
収支計画については、赤字から黒字に転換するプロセスが重要で、そのためには事業を始める前に、同業者の比較、第3者の意見、市場調査などの情報を集め、多角的に分析する必要があるとした。
そして最後に石原氏は、当初計画したビジネスプランの6割は達成することができないので、どうしたら売り上げが上がるかを研究し、PDCAサイクルでプランを常に見直す必要があるとした。