Broadcomは、10Gbps EPONの光回線終端装置(ONU)向けSoC「BCM55030」を発表した。近々、サンプル出荷を開始する計画としている。

10Gbps EPONのONU向けSoC「BCM55030」のパッケージイメージ

同製品は、増加するネットワークトラフィックに対応するためのFTTHやFTTBといった、FTTxに向けたもの。日本でもFTTHの普及が進んでいるが、中国などでもFTTBの活用が進んでおり、数千世帯規模の10G EPONの通信テストが行われているほか、光ファイバ網の90%がFTTBの活用となっているという。

PON(Passive Optical Network)の各規格の市場推移。ITU-Tが進めるGPON(2.5G)がこの数年市場を拡大しているが、2011年ころよりIEEEが策定したEPONの10G対応が進むと見られる

特にChina Telecomなどは2回線を用いた光回線の冗長化を進めており、こうした取り組みへの対応する機能が搭載されているほか、IEEE1588 v2への対応も予定されている。

ONUの10G EPON対応により、10Gbpsの回線を家庭まで届けることが可能となる

また、同製品を高速回線が活用できるようになり、1世帯あたりの回線速度を高速化できるほか、1本の回線から分岐できる本数を増やせるため、マンション側の基地局の省スペース化なども図れるようになるという。

チップには、10G EPON MACに1G/2.5G/3.125G/10GバーストSerDesおよびスイッチを統合しているほか、オンチップメモリを搭載。これにより、外付けメモリが不要となり、システムコストの低減と低消費電力化を図ることができるようになっている。

「BCM55030」の概要

さらに、SFPとONUを統合することが可能となることから、そのため、企業でのスイッチやルータなどの機器にもONUなどの機能を統合することが可能となり、通信機器の省スペース化やサーバルームの構成簡易化などが可能となる。

「BCM55030」のインタフェースとMDU(MultiDwelling-Unit)として構成した場合のブロック図

加えて、シェーピング/レート管理機能を搭載しており、100以上のキューに対応できるほか、ONU-OLTごとにサービスカテゴリに応じたサービスの質の制御が可能なっ機能などが搭載されている。

基地局との通信を行うEPON側の通信インタフェースには、上り下りともに10G/10Gのほか、10G/1G、2.5G/1G、1G/1Gなどの速度を選択することが可能だ。一方、ユーザーの機器との通信インタフェース(UNI)としては、4× SGMI(GbE)のほか、1× XAUI(10G)、10G XPI、1× RGMIを選択可能となっており、活用状況に応じて選択することが可能で、各速度に応じて、通信波長を変化させることで、複数の上り伝送の共存を実現している。

各通信速度により、波長を変えることで、1本の光ファイバ上で共存が可能となっている

なお、プロセスにはTSMCの65nmプロセスを採用しており、これによりチップとしての消費電力は従来の1G EPONチップと同等の1.2Wを実現しているほか、現在、FPGAで対応しているOLT側の10G対応についても、2011年後半にはSoCとして対応可能なものを提供する計画としている。