MonoDroidはC#と.NETの基本APIを使用してAndroidアプリケーションを開発するための開発キットで、Visual StudioやMonoDevelop(オープンソースの.NET実装であるMono上で動作する統合開発環境)のアドオンとして動作する。Androidアプリケーションは通常Java言語を使用して開発するが、MonoDroidを使用することで.NET開発者が使い慣れたC#と.NETのAPIを使用してAndroidアプリケーションを開発できるようになる。
現在のところMonoDroidを利用するには以下のいずれかの環境が必要だ。また、別途JDKやAndroid SDKも必要となる。
- Visual Studio 2010 Professional/Premium/Ulitimateのいずれか
- MonoDevelop(Macのみ)
これらのIDEにMonoDroidを導入することでAndroidアプリケーションを開発するためのプロジェクトの作成やエミュレータ上での実行/デバッグなどを行うことが可能となる。また、実機上でのデバッグをWi-Fi経由で行うことも可能なようだ。UIデザイナは付属していないため、DroidDrawなどを使用することが推奨されている。とはいえ、Googleから提供されているJava向けのAndroidアプリケーション開発ツールであるAndroid Development Tools(Eclipseプラグイン)のUIデザイナもそれほど使いやすいとはいえず、レイアウトを定義するXMLを直接編集せざるを得ないケースが多いことを考えると、この点はMonoDroidのデメリットにはならないだろう。
なお、Visual Studioの無償版であるExpress EditionではMonoDroidを利用することができない。また、Windows版/Linux版のMonoDroidでも利用できないが、こちらは将来的にはサポートされる予定となっている。また、開発言語としてはC#のみサポートされており、VB.NETには対応していない。将来的にはサポートされる可能性はあるようだが時期は未定とされている。
MonoDroidは現在プレビュー版が公開されているが、将来的にはMonoの開発元であるNovell(2010年11月にAttachmate社による買収が発表された)から有償の製品としてリリースされる予定となっている。Novellからは同種のプロダクトとしてすでにC#でiPhoneアプリを開発するためのMonoTouchというプロダクトもリリースされており、そちらと同価格帯(個人の場合400ドル、企業の場合1,000ドル)での提供になる予定とのことだ。また、プレビュー版で開発したアプリケーションを公開することは認められていないので注意してほしい。