The WebM project is dedicated to developing a high-quality, open video format for the web that is freely available to everyone. |
14日(米国時間)、フリーランスの開発者であるRalph Hauwert氏がTwitterに掲載したメッセージが関係者の注目を集めている。Ralph Hauwert氏の説明によれば、FlashでWebMデコーダが動作するように組み上げてみたところ、驚いたことにちゃんと動作したという。
HTML5ビデオのコーデックを巡る状況はH.264とWebM(VP8)という2陣営にわかれている。業界標準であり高品質、すでにサポートする機材も多いという理由からH.264の採用を推進するMicrosoftとApple、これに対して特許やライセンスの問題からH.264の採用に否定的で、代わりにWebM(VP8)の採用を推進するMozillaとOpera。両方をサポートしてきたGoogleは最近になってChromeからH.264のサポートを終了すると発表。完全にこの2つの陣営に分かれることになった。
FlashがサポートするコーデックはH.264であり、WebM(VP8)はサポートしていない。Webの動画コーデックを巡る応酬は今後も数年に渡って H.264かWebMかという議論が行われることになる。これは技術的問題というよりも政治色が強く、ユーザや開発者としては周りの状況をみながらどちらを利用するか判断しなければならないという、厳しい状況だ。
そのさなか、Ralph Hauwert氏の発表したFlashでWebMデコードを実施したという話題は興味深いものがある。Ralph Hauwert氏が行ったのは、WebM(VP8)のデコードライブラリであるlibvpxをAlchemyを使ってActionScriptバイトコードへ変更しFlash Playerで動作させるというもの。初期の状況ではオーディオなしの1920x1080 VP8ビデオをyuvに変換する処理で1.5fps程度だという。高品質といえたものではないが、libvpxが利用できたというのは驚きだ。
AlchemyはAdobeの開発者が片手間ではじめたプロジェクト。C/C++で開発されたソフトウェアをLLVMを使ってActionScriptバイトコードへ変換するというもので、暗号処理や物理計算などをFlash Player上で実現することを目指している。デコーダとしての利用もAlchemyが得意とする分野であり、その効果がいかんなく発揮されていることがわかる。