1月13日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2010年(2010年1月1日~2010年12月31日)の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年度の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では1万1,658件/6兆9,366億400万円、商工リサーチの発表では1万3,321件/7兆1,607億7,300万円となっている。
帝国データバンクの調査結果
2010年の全国企業倒産の件数は前年の1万3,306件に比べて12.4%の2ケタ減少となり、2005年以来5年ぶりに前年を下回った。月別推移も2010年はすべての月で前年同月を下回り、2009年9月以降16ヵ月連続の前年割れとなった。その要因の1つとして、金融円滑化法などの金融支援策が奏功し、多くの企業が資金繰り破綻を回避したことが挙げられている。
2010年の負債総額は前年の6兆8,101億4,700万円と比べ1.9%増と、2年ぶりに前年を上回った。これは日本航空3社が負債2兆3,221億8,100万円で倒産した影響が大きく、3社を除く負債は4兆6,144億2,300万円と過去10年で最低となった。
全国企業倒産件数の推移 資料:帝国データバンク |
負債総額の推移 資料:帝国データバンク |
業種別では、7業種すべてが前年を下回った。不動産業が前年比27.7%の大幅減少となったほか、卸売業(前年比19.5%減)でも減少が目立った。建設業(同8.9%減)、小売業(同9.5%減)の2業種は2年連続の前年比減少。
地域別でも9地域すべてが前年を下回った。なかでも、北陸(前年比25.5%減)、中国(同24.5%減)、四国(同31.5%減)の3地域は前年比20%を上回る大幅減少となった
2010年は5年ぶりに倒産件数が前年比に比べて減少したが、その要因として、金融円滑化法と緊急保証の2段構えの金融支援策が挙げられている。過去に例を見ない手厚い中小企業支援策で多くの企業が資金繰り破綻を回避し、堅調な外需や景気刺激策による下支えも倒産抑制に働いたという。
同社は、今後の注目点について「各種政策支援で抑制された倒産がいつ増加に転じるか」としている。政策効果の息切れが顕著となった2010年9月を境に反転増の兆しは見られ、前年同月比減少率が2ケタから1ケタ台に縮小したうえ、前月比では増加の月も出てきている。
企業を取り巻く事業環境が回復には程遠いなか、2011年は政策支援が相次いで終了されるため、政策期限と資金需要期が重なる年度末以降、前年同月を上回る月が出てくることが予想されている。
ただし、倒産抑制効果が大きい金融円滑化法の1年延長が決まったため、すぐに増加基調が強まる可能性は低いと同社では見ている。
商工リサーチの調査結果
2010年の倒産件数は、1万5,480件だった前年に対して13.9%減と、2年連続で前年を下回り、4年ぶりに1万4,000件を割り込んだ。その要因としては、減少要因としては、帝国データバンクと同様に、景気対応緊急保証制度や中小企業金融円滑化法などの金融支援策効果が挙げられている。
しかし、四半期別に見ると、 2010年1-3月が前年同期比17.7%減、4-6月が同15.9%減、7-9月が同14.5%減、10-12月は同6.5%減と、後半にかけて減少率が1ケタ台に縮小し、政策効果の一巡がうかがえる。
2010年の負債総額は、6兆9,300億7,400万円だった前年に対し3.3%増と、戦後14番目の規模だった。その要因として、日本航空と同関連2社(3社負債2兆3,221億円)、日本振興銀行(負債6,805億円)、武富士(同4,336億円)など負債1000億円以上の大型倒産が7件(前年6件)発生したことが挙げられている。この7件(負債合計3兆7,693億円)だけで年間負債総額の5割を占めた。
産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、9産業が前年度に比べて減少した。唯一増加したのは、農・林・漁・鉱業の(77件→93件)。
地区別では、6年ぶりに北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区すべてが前年度を下回った。中部・北陸・近畿・中国・九州は全県で前年比減少となり、全国的に倒産減少が目立った。