シード・プランニングは1月12日、国内のテレビ向けブロードバンド映像配信(IPTV)ビジネスに関する市場動向と将来展望を発表した。

今回の調査は、急速に普及しつつあるIPTVや動画配信ビジネスの現状を明らかにすることと、2015年までのIP放送サービス・IP-VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスやゲーム機向け映像配信などの普及予測を行うことが目的とされており、調査対象は主要参入企業12社やその他の参入事業者、通信事業者、各種公表情報、同社既存データとされている(調査期間は2010年10月~12月)。

同調査では2010年度におけるテレビ向けIP放送サービス(IP放送サービス、IP-VODを含む)が順調な成長を見せたことが明らかにされており、NTTグループが提供する「ひかりTV」での地上デジタルテレビ放送(地デジ)再送信やWOWWOW、NHK-BSの再送信の開始を踏まえ、2011年度はIP再送信事業者が増える可能性が指摘されている。

また、IP-VODサービスに対する利用者のニーズの高まりやサービスの拡充、HDや3D対応コンテンツの増加に加え、「iTunes Store」で購入した高画質の映画コンテンツを家庭用テレビで視聴できる「Apple TV」の国内発売によって、国内IPTV市場の活性化が見込まれるという。

このような背景をもとにテレビ向けIP-VODサービスの2010年度における利用者数は前年比153.2%となる336万人(累計)と大幅な増加が予測されており、2015年にはその数が850万人(ブロードバンド加入者割合の17.4%)に達するという予測が示されている。

「テレビ向けIP-VODサービスの利用者数予測」(資料: シード・プランニング)

「Apple TV」のWebサイト

同調査ではほかに、2015年度には(2009年度比で約3.3倍となる)620万人に達することが予測される家庭用テレビゲーム機向けVODサービスが大きな市場になると指摘している。この市場は2010年度末に、任天堂(Wii)、ソニー・コンピュータ・エンタテインメント(プレイステーション3)、マイクロソフト(Xbox 360)の3社合計で累計1950万台の普及が見込まれることから、すでにテレビ向けVODサービスの最大のプラットフォームに成長しているという。

「家庭用テレビゲーム機向けVODサービス利用者数予測」(資料: シード・プランニング)

なお同調査では、「ひかりTV」の2010年度末における累計契約件数が140万件になることや、パナソニックやソニー、シャープ、東芝などが共同で運営する「アクトビラ」の「アクトビラ ビデオ」対応機器の累計接続台数が同年度末に270万台前後に達するという数値も明らかにされている。