環境クラウドビジネス推進タスクフォースは1月12日、設立総会を開催した。同タスクフォースは、環境クラウドサービスの普及・促進の支援、ビジネス展開に向けた課題の整理・検討を行うことを目的としている。
主な活動内容としては、「環境クラウドサービスのモデルの検討」、「環境クラウドビジネスに求められるセキュリティ要件の整理」などの環境クラウドサービスのビジネス展開の促進に関する課題検討、政府の「IPv6環境クラウドサービスの構築・運用ガイドライン」の制定などに資する提案がある。
発起人は、会長を務める慶応義塾大学環境情報学部教授の中村修氏、副会長を務める東京大学大学院情報理工学系研究科教授の江崎浩氏、幹事のエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ、三井情報、三菱総合研究所。
総会では、初めに総務省総合通信基盤局長の桜井俊氏が挨拶を行い、「政府は昨年7つの分野について新成長戦略を策定したが、ICTとグリーンイノベーションは7つの要素に含まれており、政府としても環境とクラウドは重点的に取り組むこととしている。また、環境クラウドに関するワーキンググループも立ち上げており、予算も確保している。環境クラウドビジネス推進タスクフォースには、ビジネスという立ち位置から環境クラウドに取り組んでもらうことを期待している」と述べた。
続いて、会長の中村氏が挨拶した。同氏は、「これまでインターネットのエンドノードはマシンのみだったが、これからはマシンにセンサーや人が加わってくる。こうしたなか、新たなビジネスをどのように作り出していくべきかを考える必要がある。その時、セキュリティ、プライバシー、プロトコルなど、さまざまな課題が出てくるので、環境クラウドビジネス推進タスクフォースでは環境クラウドビジネスに必要な最小限のガイドラインを構築していきたい」と述べた。
最近、IPv4の枯渇に関するニュースが増えていることもあり、「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会」に参加するなど、IPv6の推進に取り組んでいる中村氏と江崎氏に対して、IPv4の枯渇とIPv6への移行について質問がなされた。
中村氏は、「IPv6の規格は1994年から1996年にかけて作られ、15年ほど経つ。その間、ネットワーク・ベンダーの対応は進んでおり、IPv4が枯渇したとしても、インターネットが急に止まることはない。むしろ、広大なアドレス空間を実現するIPv6の可能性に注目したい。IOT(Internet of Things)、スマートグリッドなど、エンドノードがセンサーにまで拡大したインターネットを対象とした新たなサービスが始まろうとしている」と説明した。
江崎氏は中村氏の発言をフォローする形で、「米国ではエネルギー業界など、IT以外の業界においてIPv6の普及が広がっているデータもある。国内では一昨年からNGNでのIPv6の実証実験が行われており、ISPやキャリアによってIPv6を利用する基盤の構築が進んでいる。今後、IPv4が枯渇したらIPv4ベースのサービスが止まり、IPv6ベースのサービスが増えることで移行が進むのではないだろうか」と述べた。